君がいる、当たり前の日々。

一ノ瀬陽

君がいる、当たり前の日々。

今日も君は私の邪魔をする。

いや、邪魔ではないか。

むしろご褒美タイムなのかもしれない。

猫飼いさんならそう思うかもしれない。

そして恐らくこれもそうなのだと思う。


「かわいいねえ。かわいいねえ。とらたろはかわいいねえ」

「にゃあ」


寅太郎と随分大層な名前をつけたが基本的に呼ぶのはかわいこちゃんとかとらたろとかあだ名。

いいんだ。だって可愛いんだもん。

会話はできないけど、何となく寅太郎も自分が可愛いことを分かっていると思う。


私、日菜子の飼い猫寅太郎。

二人暮らし。

私はそんな寅太郎との日常の一コマを絵にしながら暮らしている。

あ、いや!ちゃんと仕事はしている。

息抜き。日々の息抜き。

大事よ、息抜き。

今日も絵を描きながら横になる私の上に寅太郎が上ってくる。


「とらたろ~。重いよ~。遊べってぇ?」

「にゃあ!」

「これが終わったら遊ぶよ~。もう少し待っててね?」

「にゃ!」


日課である猫日記の更新。

寅太郎との日常。

今まで寅太郎との尊い日常を自分だけでも記録に残しておきたかった事から始めた絵日記。

今では色んな人が共感してくれたり、我が子を写真で見せてくれたりする。

それがもう本当に嬉しくて。


寅太郎との出会いは突然というか必然だったような気もするけど、あの子はきっと招き猫だったんじゃなかろうかと思う。福猫ちゃんめ。

今まではあまり見てもらえなかった絵も、寅太郎のお陰で沢山の人に見てもらえる。

喜ばしい事だ。


「ありがとうとらたろ~。これからもよろしくね」

「にゃ~お!」


今のはこちらこそ、みたいな言葉だったのかなと想像する。

それすら愛おしく感じる。

今日もまた、何気ない一日の始まり

君がいる、当たり前の日々。



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ひだまりみたいなもふもふとのんびり日菜子ちゃんの何気ない日常のお話。

短いお話ですがご覧いただきありがとうございました。

2025-10-04 一ノ瀬陽

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