第五章第3話 招待状発見と犯人の正体



碧と結は、体育館横の倉庫に向かっていた。

「ここに怪しい動きがあったって報告があったの」結が低く言う。

「なるほど、潜入調査の成果が出るかな?」碧はワクワクした表情。


倉庫の扉をそっと開けると、床に散らばる紙の束が目に入った。

「これは……!」碧は息を呑む。

赤い紙で封された招待状が無造作に置かれていたのだ。


「全部ここに隠されてたのか!」結が驚きながらもメモを取る。

「うん、犯人は注目を集めたかっただけみたい」碧はにやりと笑う。


その時、物陰から実行委員の佐々木が出てきた。

「……見つけたんですね」佐々木は少し緊張した面持ち。

「あなたがやったの?」碧が問いかける。

「はい……遊び心でやっただけです。招待状を少し隠して、みんなを驚かせたくて」


結は腕を組み、冷静に確認する。

「つまり、悪意はなかったんだね」

「はい。でも、規模が大きくなるとは思わなくて……ごめんなさい」佐々木は頭を下げる。


碧は笑顔で言った。

「悪意がないなら、事件は解決ってことで!」

結も頷き、招待状を元の場所に戻す作業を手伝う。


倉庫の中で、招待状を整理しながら碧は言った。

「いやー、今回は学園全体を巻き込む大事件になったね」

「でも無事に解決できてよかったわ」結はほっとした表情で答える。


赤い紙の警告は、ただの“遊び心”だったが、

碧と結の冷静な観察と推理で、混乱は最小限に抑えられた。


夕陽が倉庫の窓から差し込み、二人の影を長く伸ばす。

「次はどんな事件が起きるのかな?」碧が目を輝かせる。

「……またドタバタになるけど、楽しみね」結は微笑んだ。


こうして、学園祭前日の大騒動は無事に収束した。

碧と結の名推理コンビは、今日も学園の平和を守ったのだった。

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