煌めくステッキ、可愛いドレス。だがその正体は、脳を改造され、痛覚を遮断してテロリストを殺戮する「政府の消耗品(サイボーグ)」だった。
行き過ぎた科学が魔法と呼ばれるディストピア。思考するだけでミサイルを撃ち、モノフィラメントの糸で敵を切り刻む、鋼鉄の魔法少女たち。相棒の死すら「処理」として認識する少女・ストロベリーピンクが対峙するのは、かつての成れの果てである「魔女」。
ポップで残酷、キュートで無機質。魔法少女×サイバーパンクの傑作がここに。M粒子が支配する夜空で、悲しき殺し合いが幕を開ける。
another day, another run.
いつもの夜、いつもの仕事
『魔法少女まどか☆マギカ』以降、「魔法少女って実はブラックな環境なのでは……?」と様々な形で魔法少女の闇を描く作品が登場してきたが、本作はそこにさらにブラックな要素が多いジャンルであるサイバーパンクを組み合わせてきた。おかげで本作の魔法少女の描かれ方は通常よりもさらに悪辣さを増している。
M粒子と呼ばれる特殊な粒子を操ることで、多様な兵器や電子機器をまるで魔法のように自在に運用できる魔法少女たち。一皮むけば危険すぎる存在なので彼女たちは政府によって薬品で脳を制御されているし、自由な思考や回想すら許されていない。
さらに彼女たちが戦う魔女の正体は、かつて政府によって作られた元魔法少女たち。始まりは同じだった少女たちが、立場を違えて互いに殺し合うという過酷すぎる運命。そうした魔女との戦闘によって魔法少女たちは簡単に死んでしまうし、身体に残されたわずかな生身の箇所も容赦なく奪われる。
物語は残酷の組み合わせとしか言えない展開の連続なのだが、それでいてサイバーパンク要素を取り入れた戦闘描写が非常にカッコいいから困ってしまう。特に主人公であるストロベリーピンクが武器に糸を使っているのもカッコよければ、決着の方法が相手の心臓をハッキングするという形なのも痺れる。
目をそむけたくなるような悲惨な展開がたっぷりと描かれているのに、目を離せない魅力的なアクションが満載で、魔法少女とサイバーパンクという全く別のジャンルの美味しい部分を見事に調和させた逸品だ。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)