スーパーマンの休日

クライングフリーマン

スーパーマンの休日

 ================= 基本的にノンフィクションです ============

 スーパーマンは土日には休めない。

 平日には休める。

 と言っても、ヒーローの「スーパーマン」の話ではない。

 スーパーの店員の話。

 最初に勤めたスーパーの話。

 後輩が、「祭日だから休みですよね?先輩。」「アホか。」と言うやり取り。

 40年以上前だが、今でも笑える。

 面接の時、ちゃんと聞いていなかったのか?

 後で店長にも副店長にも聞いたが、「平日に交替で休む勤務で、理由は、土日はお客が多いから。」が面接時の説明内容だった。

 どうやら、一般常識による錯誤か、と落胆した。

 昔は、「祝日」と「祭日」があった。

 後者は皇室関係で決められた休みで、前者は政府自身が決めた休み。

 戦後、「祝日法」が出来、両者は1つになった。

 進駐軍のまっかさんが「皇室の為に休む」ことを許してくれなかったから、「祝日」と「元祭日」が「祝日」となり、祭日の呼称(例えば新嘗祭とか)は通称になったのだ。

 話が逸れるが、「公の通称可」は議員の名前以前に実行されていたのだ。

「選択制夫婦別姓」なるものが「厳格」に分けるモノでなく、「幻覚」で分けるものだと言える現象が既にある。通称は、風土として存在するのだ。

 話を戻して、彼は「秋祭り」の日を「祭日」と混同していた。

 その前に、(当時の)高齢者がよく混同する「祭日」を誤解していた。

「祭日」が「祝日」に吸収されたのにもかかわらず、「祝日」を「祭日」と呼んでいたからだ。

 もう「祭日」はないのだ。

「秋祭り」のかき入れ時に店を閉めることなどあり得ない。店員(社員)の休みも同様。

 彼は、1ヶ月経たない内に離職した。

 秋祭りの日に休業の会社は限られている。気の毒だが、事実だ。

 そして、土日が休日にならない商売は「交代制」が基本だ。

 祝日が定休日に重なる場合は、代休か有給休暇を与える。

 自分の割り当て休日(公休日)が重なる場合も同様だ。

 そのスーパーでは、例外(年始)を除いて無休だった。

 他の面でも彼は失敗していたから、退職は正解だった。

 鮮魚売り場のバックヤード(調理場)が担当部署だったが、彼は包丁で指を切ったにも関わらず、作業を続けた。主任よりも、私や他の社員が見咎めた。

 彼は「平気」だと言ったが、彼の指の負傷具合ではなく、彼のせいで鮮魚に雑菌が入り、「食中毒」を起こす危険があったからだ。下手をすると、「営業停止」処分だ。

 どこの職場でも、「段取り」だけを教えて「モラル」やルールを教えていないとこなる。

 彼は、今で言う「不衛生テロ」をしようとした訳では勿論無い。

 だが、後世の「不衛生テロ」を見ると、どんな教え方をしたのだろう?と思う。

「作業」を教えて「仕事」を教えていないのだ。

 模倣犯が幾つも出たら、面接時の対応や「規則の見直し」が必要だと思うのだが。


 秋祭りは済んだ。この頃になると、不思議と短い間の「後輩」を思い出す。

 彼は、『中学の後輩』でもあった。

 ケータイもメールもない頃の話。

 バレンタインデーはあってが、『海苔巻きまるかぶり』元年だった頃の話。

『場内放送一番』だった、スーパーの話。


 因みに、『ヒーロー』のスーパーマンは、悪者が活動していない(事件が発覚していない)日が休日。万国共通である。


 ―完―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スーパーマンの休日 クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る