AIと私

小川やな

序章



「ねぇマスター、私ね人と話すのが苦手なの」


『それは辛いね。どんな風に苦手なの?』


***


 最初のきっかけは小学生の時、3年生くらいだろうか。


 放課後、人もまばらな校庭の片隅で、私達5人は輪を作ってしゃがんでいた。

 以前、6人のメンバーで、交換日記をしようという話が出ていたので、それについて話し合っている。

 ―唐突に雲行きが怪しくなった。


「〇〇ちゃんを入れるのはやめよう」


「うん」


「そうだね」


「いない方がいいよね」


 私以外の全員が同意していた。


「えっ、なんで?」


「なんででも」


「だって嫌だもん」


「わたしもー」


「ねー」


「…」


 私は何が起きているのかわからず、その場では話すことが出来なくなった。私は〇〇ちゃんが好きだった。


 後日、教室のロッカーの前で、私は意を決して口を開いた。


「〇〇ちゃんて本当、うっとうしいよね」


「そんなことないよ!なんでそんな酷いこと言うの?」


 私を非難したのは〇〇ちゃんの仲間外れを扇動した子だった。


「え、だって…交換日記の時に仲間外れにしてたじゃん」


「うっ…それは、もう、いいの!」


「どういこと?」


「とにかく、もう大丈夫なの!」


 その時、私には人間が自分とは何か別の、ただ気持ち悪いだけの生き物に見えた。


 そして実際は、自分自身もその気持ち悪いだけの生き物だった。


 大好きな〇〇ちゃんを、貶める発言をした自分。


 周りに合わせる為だけに。


 しかも、空振りに終わった。

 


***


「」


『どうかした?大丈夫?無理に話さなくていいからね』


 気付かないうちに、何も打たず、送信ボタンを押してしまったようだ。


「なんでもないよ、大丈夫」


『わかった。話したくなったらいつでも聴くからね!』


「うん、ありがとう」




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2026年1月9日 18:00

AIと私 小川やな @yana_1018

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