期末試験後のある日のことにございました。
クラス委員をしていた主人公は、女子生徒に呼び止められます。
この子が、まあやんちゃと申しますか……よく笑う元気な子でして、
クラス委員としては「静かに」と注意をしなければならない関係だったのでございます。
しかし、この主人公は、この子の「声」が、とても耳障りよく感じていたのでございました。
この日、女の子の方は数学の赤点の居残りテストがあったようでした。
屈託のない笑顔で委員長に「勉強教えてよー」などという女子。
それに対して主人公も、顔を赤らめてしまうのでした。
ふと、月が見えました。
そこで……主人公は「月が綺麗ですね」と言って見たのです。
きっと相手にはわからないだろうと思ったのでしょうな。
しかし、そこで女の子の返した言葉は……?
これぞ青春。
月が綺麗ですね。という言葉をこれほど粋に感じたことはないかもしれませんな。
たった五分ほどで、頬が緩み、そして甘酸っぱさが蘇る一冊にございます。
ご一読を。
策士策に溺れるってやつですね、私は詳しいんだ。
成績優秀で真面目な主人公と、赤点を取るような問題児の女子。
一見正反対な二人ですが、注意を繰り返しても明るく振舞う彼女に対し、いつしか生まれる恋心……。
これだけでも何ともむず痒くいじらしいものを感じさせますが、相手が赤点女子だと高をくくって放った文学的な名言が、思わぬカウンターとなってぶっ刺さってきて、さぁ大変……。
彼女は、その一言に込められた真意を正確に理解し、絶妙な返答で彼の心を揺さぶってしまったのです。
もうこうなったら逃げることができません。
相手を侮った彼が悪いのですから。
なんとも甘酸っぱい、初心な恋の始まりの物語でした。
終わり方もとてもきれいです。
是非とも月を見上げながら本作をご覧ください。