第52話 星1ダンジョン攻略
2日後からシオンのレベル上げだ。
「さて、1人で何階層まで行ったんだ?」
「4階層まで行けました!」
ほぅ、なんだかんだでレベルが上がったから1人でそこまで行ったんだな。
「えらいぞ。1人だと苦戦しただろ?」
「なんとか倒せましたし、このハンマーのおかげです」
と照れているシオンは、まだ男っぽい格好で来ているがそれは別に気にしない。
「じゃあ1階層からまた始めようか」
「はい!」
と言うことで星1ダンジョンの1階層から始める。
俺はとりあえず見てるだけだ。
危なくなったら助けに入るが、1人でできるところは手を貸すことはしない。それはシオンにも言ってある。
「せぇい!」
とハンマーを振りゴブリン達を倒して行くシオン。
3階層もなんとかなっているな。
と言っても、革鎧に市販のブーツと言う俺の最初より酷い格好だからなんとかしてやらないとな。
でも、この調子でいけば買える装備も出てくるが、何かあった時が心配だな。
防具だけは用意してやるか。
「少し休暇だ、中々様になってるぞ?」
「そうですか?僕はもう必死で」
「ほれ、飲んでおけよ?」
とマジックバッグから飲み物を取り出して渡す。
「そう言えば、ほら、これでドロップは自分で拾えるだろ」
新しく作ったマジックバッグを渡すと、
「え?い、いいですよ!僕ならこのリュックがあるんで」
「ふぅ、俺が変な目で見られるだろ?」
「え?」
「流石にシオンだけ汚れて俺は汚れてない。それなのにそんなでかいバッグまで担がせてたら変な噂が立つから、もらっておけ」
俺を客観的にみたら、搾取してるように見られるからな。
「そ、それなら、ありがとうございます!」
「おう、ちゃんとバッグもその中に入れて、シオンは敵だけ見てればいい」
「はい!」
まぁ、今日は5階層まで攻略する。
だが、次の階からは人が多くなっていた。まぁ、1階層から人は多かったが、
「な、なんだこの人の数は?」
「冬休みですかね?未成年が多いみたいですし」
見てみると若い子達がパーティーを組んで戦っている。
俺は頭を掻くと、
「次からは星2ダンジョンだな。5階層をサッサと攻略しようか」
「そうですね、流石にこれじゃモンスターがいなくなりますね」
先に進みながら邪魔にならないように歩いて行く。
途中でミズノらしき人物がパーティーを組んでいたようだが、まぁ、あいつなりに頑張ってるんだろう。
まぁ、学生が冬休みで良かったな。
みんなが戦っている中進んでいく。
見てるとやはり弱いもの同士がパーティーを組んでるようだ。どうしてもカースト制になってしまうようで、覚醒者も強いものと弱いもので分けられてしまうんだな。
覚醒者の中でもこれだからなぁ。
「ここからは人が多そうだが、目の前の敵だけ見ればいいからな?」
「はい!」
4階層でこれだと5階層はどうなってるんだ?
とりあえず向かってくる敵だけ相手にしていると、あっという間に5階層の扉の前だ。
「並んでますね」
「だな、まぁ、六組だからさっきと比べればいいだろ」
「ですね」
大人しく待っていると、ヒソヒソと話し声が聞こえてくる。
やれ、カグヤのパーティーメンバーだ。
やれ、似てるオッサンじゃないかと……余計なお世話だ!誰がオッサンだ!
自分で言うのはいいが、人に言われると傷つくんだぞ!
「大丈夫ですか?」
「あぁ、少しイラつくがな」
「まぁ、有名ですしね?」
と言われ、テレビなんかに出るんじゃなかったと後悔している。
「あ、あの!里見瑠夏さんですか?」
といきなり隣から声をかけられる。
「……違うけど」
「あ、ごめんなさい」
『ほら!違ったじゃん!』
と嘘をつくと心が痛むが、これでいい。
騒がれるのは嫌だからな。
どんどん扉の中に入っていき、俺らの番だ。
「シオン、準備はいいか?」
「はい!」
中に入ると扉が閉まり、中にいるのはオークファイターが3体。
「行けるか?」
「やってみます!」
と走っていくシオンはハンマーを横から振り抜くとオーク2体を巻き込んで壁に飛ばしてしまう。
力のある子だと思ってたが、やはり鍛冶士はパワーが違うのだろうな。
そのままその場で一回転して3体目のオークファイターを捉えると思いっきり振り抜く。
飛んでいくオークファイターは壁にぶつかり消えてしまった。
「やったな」
「はい!大丈夫でした!」
「だな、よし、今日はここまでにして明日から星2だな」
「分かりました!ドロップ拾ってきます!」
と走って行く。
宝箱を開けさせると、ポーションが2つ入っていた。
「それは持っておくといい」
「はい!」
初日にしては上出来だな。
モノリスでギルドに戻ると、換金してしまう。流石にここで俺の取り分はない。
「いいんですか?」
「あ、なら武器を売ってくれ」
「はい!じゃあ武器だけ別に計算してもらえますか?」
受付にお願いして計算してもらい、その分をカードから払って錆びた武器をもらう。
「30万にはなったな」
「はい!凄いですね。初めてこんなに稼ぎました」
「ハハッ、鍛冶がうまく行けばもっと稼げるさ」
と言って笑い、着替えて飯を食いに出かける。
定食屋で飯を食いながらテレビを見てると、カグヤが出ている。
『最近は活躍の場が星3になっているようですが、パーティーメンバーを変える予定は?』
『ないですよ?それより何故そんなことを聞くんですか?』
とカグヤが怒っているのがこちらにも伝わってくる。
『いえ、これまで活躍していたのは星5じゃないですか、だから視聴者は星5での活躍を望んでると思うんですが』
『はぁ、私は人気取りをしたいから探索者になったわけではないですし、パーティーを組んだのも自分からです。失礼なことを言わないで頂けますか?』
強気なMCに食ってかかるカグヤ。
「凄い人とパーティーを組んでしまいました」
「そうだな。それは俺も思うよ」
と2人で成り行きを見守りながら食事をする。
帰る頃には何事もなかったようにMCと喋るカグヤ。
「凄い世界ですね」
「だな」
と感心してしまう。
俺だったら口聞かないけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます