第11話 マジックバッグ


 日曜も終わり、月曜日の朝から皮を革に『加工』している。

 ネットで見てたら皮はそのままにしておくとカビや腐敗してくるようなのでサッサと革に『加工』する。

 思ったように『加工』は簡単に出来た。

 皮の加工には鞣しや仕上げなど色々な方法があるが、考えているだけで皮から革への『加工』が出来たのだ。

 とりあえず出来たのはいいが、

「この部屋じゃ狭すぎだな」

 かと言って早くしろなんて不動産屋に言うのも違うし……とりあえず、バックパックと革を『合成』して『調合』で調整する。

 頭の中で思い描くとステータス画面のようなものが出てきた。

「へぇ、これで部分の割合を変えられるのか!」

 画面を指で動かして革のバックパックにして『合成』する。


「出来たな!うん、思ったとおりだ」


 革のマジックバックパック……ブラックホーンの革で作られたバックパック、バッグの中の時間経過は二分の一(収納[中])


「うぉ!なんか追加効果が付いたな」

 バックパックを開けるとモヤモヤとダンジョン入り口のような感じになっていて腕を入れると肩まで入る?

「凄いな、なんだこれ」

 とりあえずタバコを入れて見ると消えてしまうが、腕を入れるとタバコが掴める。

 とりあえず残った革を入れて行くが容量がおかしなことになっている。

 やはり腕を突っ込むと革の種類と数が分かる。

「これいいぞ!追加効果は物によるのか!」

 武器には武器用、バッグにはバッグ用の追加効果があるんだな。

「ふぅ、興奮しすぎたな」

 だが、こんな物が出来るなんて、しかも時間経過までバッグの中は別の世界なのか?


 だがこれで革も片付いたし、これがあればダンジョンからのドロップも持ち帰り放題だな!


「バッグにこれが付くなら普段使いのバッグも欲しいな」

 と言う事で鞄屋をネットで検索し、腰に着けれるウエストヒップバッグを買いに行く。

 自転車で行ける距離なので自転車をこいで商店街に向かう。

 お目当てのヒップバッグが合皮だが見つかりそれを買う。

「こう言うのが男心をくすぐるねぇ」

 一応、シンプルな物にしたがバイカーがつける様なゴツい物もあった。

 アパートに帰ると早速『合成』『調合』でブラックホーンの革を使い革のヒップバッグを作る。

 やはり追加効果で『収納(中)』が付いたのでこれは普段使いにする。


 さて、ミドリに売るダガーも作らないとな。

 まだ昼なので今からチャチャッとダンジョンに行ってこよう。

 自転車に乗ってダンジョンのあるギルド派出所に行く。

 ダンジョンに入って2階層でゴブリン狩りをする。とりあえずダガーを32本ドロップするまで倒して行く。ミスリルダガー2本分だな。


「よし!やっとかよ!」

 なんとか集めた錆びたダガー、その他もだいぶ集まったので、まぁ『tortie』に売る分も出来るか。


 疲れたので家に帰る、途中でコンビニに寄って雑誌やビール、食い物を買って行く。


「ただいまっと」

 誰もいるわけないがつい言ってしまう。

 いつも通りにビールを開け、飲みながら『合成』をして行くと、ミスリルダガー2本に火と風属性が付いた。

 形も変わり中々カッコいいな。

 さて、これでミドリにも満足してもらえ、金も払って貰えるな!


 他に出来たのは火属性のミスリルスピア、火属性のミスリルの片手剣、風属性のミスリルソード、ミスリルの盾、ミスリルの大剣とミスリル製品がそれなりに出来た。

 ダマスカスや鉄までしか出来なかったのもあるが中途半端なので今度にする。


 次の日はゆっくり起きて、昼前に家を出る。

『tortie』までドライブして、駐車場に駐める。


「よぉ!お前の車が見えたから」

 とツネが駐車場に出てきた。

「おっす!今日も稼ぐぞ?」

「ハハッ、お手柔らかに」

 喋りながら店に入る。


「いらっしゃいませ、里見様」

「こんにちは」

 今日は1組パーティーがいるみたいだな。

「では、こちらに」

 と促されるまま商談スペースに座る。


「今日は何をお売りに?」

「はい、まずは」

 と属性武器とミスリル製品を見せて値段をつけて行く。

 これでもかと驚く店長とツネ。

 今回はさすがに店長も値段を勉強して来たらしい、が、まだ足りないだろ?


「ふぅー、里見様には驚かされてばかりですね」

「まぁ、そうですね」

「はい!」

 総額10億7000万でミスリル製品は売れた。

 まぁ、ツネがいる会社だから売るのであって、別に俺は金さえ貰えればいいが、ちょっと店長の値段の付け方が雑に感じる。


「はぁ、一応ツネがいるから売りに来てますが、もう少し勉強した方がいいですよ?」

「は、はい、申し訳ございません」

「一応、勉強してこれですから、ツネがいないと今日でお終いですからね?」

「は、はい!勉強させていただきます」

 と言って店長と別れ、ツネと駐車場で話す。


「悪いな、店長も社長に言われてるんだよ」

「値段の付け方が雑になってきてるからな?」

「だな」

 ツネが分かるくらい雑だった。

「ツネなら属性武器、いくらで買う?」

「うーん、2億5000万で様子見かな?」

 まぁ、それくらいは出すよな。

「だよな?さすがに今回は頑張ってるのは分かるが『tortie』のブランド力を強めるなら差を縮めないとな?」

「だな、少し店長とも話してみるよ」

「おぅ、まぁ、ツネが店長だったら良かったんだけどな」

「ハハッ、そうしたら値引き交渉するさ」

「フッ、だろうな」

 と笑って別れる。

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