静かに満ちて、静かにこぼれていく――
そんな“優しいSF”を読みたい人に、ウチはこの作品を強くおすすめしたいです。
アンドロイドのリリーが、博士の願いを胸に、
ひとりで世界に踏み出していく物語。
そこで出会う人々は、冷たさもあれば、あたたかさもあって、
人間という存在をまっすぐに映し出してくれます。
そして……
リリーが出会う赤ん坊・アントスとの時間は、
たった数ページなのに人生の光みたいで、
ウチ、胸がぎゅっとなりました。
SFなんやけど、
「長命種」と「短命種」という設定よりも、
“生きることの意味” や “名前を付けるという行為”に
そっと寄り添っていく優しい物語。
読んだあとは、静かに涙が落ちるような……
そんな余韻がウチの胸に長く残りました。
🍬 講評
この作品は、とにかく“優しさ”が物語の芯になっています。
◆ リリーの純粋さと一途さ
博士に与えられた願いを大事に抱いて、
誰に冷たくされても折れずに歩いていく姿が、ほんまに尊いんよ……。
◆ アントスとの関係が光ってる
名前を付けるという行為が、
ここでは“愛の証”として、すごく綺麗に描かれている。
ウチ、アントスが成長して
「リリーがぼくを助けてくれなかったら、死んでたでしょ?」
って言う場面、涙腺アウトやった……。
◆ 文体の美しさと静かな情緒
抑制された言葉で構成されているのに、
伝わってくる感情はめちゃくちゃ豊か。
掌編やけど読みごたえはしっかりあって、
短さを感じさせない深さがありました。
全体を通して、
命のあたたかさと儚さがそっと手のひらにのるような、
そんな甘くて切ないSFです。
🌱 おすすめメッセージ
「SFは難しいから……」って思ってる人でも、
この作品はすっと読めて、心にじんわり染みます。
・命を大切に思う気持ち
・誰かを愛おしく思う瞬間
・別れの痛みと、そこに宿る優しさ
こういうテーマが好きな人には、
確実に刺さる一作やと思います。
読み終わったあと、
静かに深呼吸したくなるような余韻が残る作品です。
ウチも何回も思い返してしまうくらい、
ほんまに美しい掌編でした……。
虚数遺伝子さんの描く“命の光”を、
ぜひ多くの読者さんに味わってほしいです。
ユキナ💞
まるで古い映画を見ているようでした。
主人公リリーは無垢なアンドロイド。
創造主である博士のそばで暮らすものの、その生活は博士の死とともに終わりを迎えます。
博士の死によって初めて外の世界を知るリリー。
そんな彼女の胸には博士が最期に託した「願い」を叶えようという決意があるのですが、その過程がとても美しく、読後に深い余韻を残します。
個人的な見どころはやっぱり終盤のクライマックスとラストでしょうか。
特にラストの一文は「これで博士の願いをリリーは叶えたんだな」と強く印象に残った一方で、優しい喪失感が際立っていると思います。
どうか無垢なアンドロイドが生まれ直すまでの旅路をご覧ください。