白蛇の仔(はくじゃのこ)

Yukl.ta

第1話「僕は失敗した」

自室の部屋中に貼り付けた幾枚もの護符。

先日、『鷲護ノ宮神社』を訪れた時に貰ってきたものだ。

神社の神主は言っていた。

「これを家中に貼っておけば安全だ」と。

…それは間違いだった。


…予感がする。

あいつが、やってくると。

あいつは、祟りの象徴。

土地一つ滅ぼすことすら可能な…厄災の化身。

それに僕は目をつけられた。


けれど…。

あの時。僕達はその神の如き存在を滅したはずだった。

彼も言っていた。「あれが滅ぶ姿を見た」と。


だが…。

あいつは滅んでなどいなかった!

何故だ。何故、失敗した!

部屋中に貼った護符の効果も全く無い!

なんで、この護符は効果を発揮しないんだ!


考えろ。

どうすれば助かる?

どうすればこの災厄を止められる?


厄災迫るその恐怖の中で。

僕は気付いた。

「…わかった。」

その手段に。

…しかし、それは僕には不可能な方法だ。


けれど、誰かがこの災厄を止めねばならない。


携帯電話は通じない。

電子機器も起動しない。

どうすれば…。


その時。


小さく真っ白なそれが、


僕の膝を攀じ登ってきていた。


暗く紅い瞳で僕を見つめながら。


細く冷たい四肢を動かしながら。


白蛇のように這いずりながら。


赤子のように纏わり付きながら。



ぼくにはもうそれをどうすることもできなかった


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