白蛇の仔(はくじゃのこ)
Yukl.ta
第1話「僕は失敗した」
自室の部屋中に貼り付けた幾枚もの護符。
先日、『鷲護ノ宮神社』を訪れた時に貰ってきたものだ。
神社の神主は言っていた。
「これを家中に貼っておけば安全だ」と。
…それは間違いだった。
…予感がする。
あいつが、やってくると。
あいつは、祟りの象徴。
土地一つ滅ぼすことすら可能な…厄災の化身。
それに僕は目をつけられた。
けれど…。
あの時。僕達はその神の如き存在を滅したはずだった。
彼も言っていた。「あれが滅ぶ姿を見た」と。
だが…。
あいつは滅んでなどいなかった!
何故だ。何故、失敗した!
部屋中に貼った護符の効果も全く無い!
なんで、この護符は効果を発揮しないんだ!
考えろ。
どうすれば助かる?
どうすればこの災厄を止められる?
厄災迫るその恐怖の中で。
僕は気付いた。
「…わかった。」
その手段に。
…しかし、それは僕には不可能な方法だ。
けれど、誰かがこの災厄を止めねばならない。
携帯電話は通じない。
電子機器も起動しない。
どうすれば…。
その時。
小さく真っ白なそれが、
僕の膝を攀じ登ってきていた。
暗く紅い瞳で僕を見つめながら。
細く冷たい四肢を動かしながら。
白蛇のように這いずりながら。
赤子のように纏わり付きながら。
ぼくにはもうそれをどうすることもできなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます