第四話 日記
「い、家?!」
急な言葉に驚いてしまった
遥春はもう死んでいるとはいえ
女の子だから
「なんでそんなに驚いてるの」
遥春は疑問に思ったようだ
「・・ま、いっか」
答えを振り切る
「で、遥春の家ってどの辺にあるの?」
「んーここからだと30分くらいかかるかな。」
「そっか」
・・歩き始める
「というか、何で校門の前に居たんだ?」
「私、生きていればあの学校に行くはずだったから」
「そっか」
なんだか今日はすごい日だ
というか生前の記憶って覚えてるもんなんだな
今更思う
「ねえ、何で聞かないの?」
?・・・
質問に対して疑問に思ってしまう。
でも次の言葉で
「私が死んだ理由」
「あっ。」
咄嗟に"あっ"と目的を思い出すかのように出てしまう
「いや、聞いちゃいけないかなって」
嘘だ、今思い出した
「気まずくなるから?」
「まあ、そんなところ」
・・・ヒュウウ ヒュウウウ
周りにある木々が風で揺れる
いや、正確には葉か
「・・あなたにはきく権利がある」
「私の
「遥春が嫌じゃなければ、聞きたい」
歩く、歩く、歩く
会話は止まり
時は流れる
・・あれ、俺なんかまずいこと言ったかな
彼女が歩みを止める
「・・どうしたの?」
「ここが、私の家」
彼女の目の前にある家を見る
「え、ここ遥春の家?」
その家の窓には蜘蛛の巣が張ってあり
屋根は今にも崩れてきそうだった
人間の本能だろうか
「汚い。」
思わず出てしまった言葉を訂正する
「あ、いや今のは嘘で」
「いいよ別に気にしてないから。」
ごめん、と心の中でもう一度謝った
キュッキュ!ガラガラガラガラ
遥春が古い引き戸を開ける
「さ、入って」
俺は玄関の前に立つ
「じゃ、お邪魔します」
そう言いながら靴をきちんと並べ
家に上がった
「てか、遥春の家族はいないの?」
「玄関のとこの靴全然なかったけど」
「いないんだ。」
「?一人暮らしってこと?」
俺はそれを当たり前だと思っている
自分の当たり前を他人に押し付けて
「家族が、いないんだ私」
謝る
「ごめん!」
「だからいいって。」
「そんな顔して謝られたらこっちが申し訳なくなる」
「はは、今日謝ってばっかだな俺」
ガサガサ
遥春が机の中を探る
「?」
「何か探してるのか?」
「うん」
ガサッ
「あった」
どうやら見つけたみたいだ
彼女の手には一冊のノートが握られていた
「それ、ノート?」
問いかける
「ノートだけど違う」
?
「いやノートだろどう見ても」
「違うよ、これは日記なの」
日記 それは思いを綴るもの
それぞれの想いをぶつけ、伝えるもの
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