4-1話 ここは何処?
【忘れている人のための、以前の出来事おさらい】
ノルド城、転移の魔法陣のある間にて――。
魔法陣に立たされた
「せっかくなのでテル様で実験しちゃおうかと思っていますの。
(※中略)
この魔法陣を使ってランダムテレポートでもやってみようかと。
(※中略)
それでは行きますよ~」
ウェルヘルミナが杖を振るうと、
「ちょっ! まっ!
うわぁああああああああああああああっ!」
光がとめどなくあふれ出て、
(※このあとからが第四章本編です)
* * *
【夢の中:side
転移者は全部で八人いる――と、ウェルヘルミナはそう言っていた。
そしてラノベ部部室で起こった最後の爆破事件で、あの爆破現場にいた人間は――
一人目は――このボク自身、
二人目は――ボクの幼馴染であり初恋相手でもある
三人目は――中学校からの親友ですぐボクに言い寄ってくる
四人目は――
五人目は――ボクたちの担任でヒステリーおばさんな
六人目は――有能生徒会長でミステリマニア(変態)の
七人目は――クラスメイトでアニメ部副部長の
八人目は――連続爆破事件を担当していた刑事の
――以上、分かっているだけでちょうど八人いる。
ということは、この八人が死んで異世界転移してきたのかな?
いやでも……ボクの最後の記憶では、
それにもう一人の親友――
やっぱり
出来れば
――――――
――――
――
* * *
「……って、アレ?」
夢の中で考察していた
目覚めてまずその目に飛び込んできたのは、星が降って来るかのような満天の夜空。
そして大きいのと小さいの、二つの月が星々の中に浮かんでいるのを見て留めた。
「……ここは何処?」
足元からの明かりに照らされて、崩れたレンガの壁に囲まれているのが見えた。
壁にはびっしりツタが生えていて、その様子から今いる場所が、長い間放置された廃墟だと分かる。
瓦礫の所々に立派な装飾が散見され、元は立派な屋敷だったのではないかと推測できる。
今は壁は半分以上崩れて天井もなく、長年野晒しの状態であったせいか見る影もないが。
その壁の向こうには黒い木立の影が見えており、どうやら周囲は木々で囲まれているようだ。
「森の中の廃墟……? って、そうだ! ボク確かウェルヘルミナにランダムテレポートさせられて……」
「これは……助かった……のかな? ランダムテレポートはSSR並みの生存確率だってウェルヘルミナには言われたけど……。そんな状況で、廃墟とはいえ人の痕跡の残る場所に来れたのは、自然の中に放り出されていた場合を考えるとかなり運がいい方かも……」
続いて足元に目をやると、石畳の床に見覚えのある魔法陣があった。
明々と光を放つ――どうやらこのおかげで周囲が明るいようだ――七芒星を模った魔法陣。
「……これって七芒星? ボクがウェルヘルミナに飛ばされたのと同じタイプの魔法陣だよね」
ウェルヘルミナ曰く、七芒星は時空を司る魔法陣であり、異世界転移だけでなく
そんな、ノルド城にあったものと同じ七芒星魔法陣が、なぜこんな廃墟にも存在しているのか?
状況を見るに……この廃墟で使われていた魔法陣が、建物を廃棄するのと同時に放置されたものではないかと想像される。
「よし、調べてみよう。[探偵の鑑定眼]!」
====================
『空間転移の魔法陣』
種類:魔法陣
レア度:☆☆☆☆☆
時空を司る七芒星が描かれた転移用魔法陣。
同じ魔法陣同士を介して瞬間移動ができる。
だが対となるもう一つの魔法陣はすでに無く、今は使用することはできない。
====================
やはりこれは空間転移を行う魔法陣のようだ。
「ウェルヘルミナは『行き先を設定せず適当に飛ばす』って言ってたけど……。ひょっとしてここに飛ばされたのは偶然じゃなくて、ボクがこの魔法陣に引き寄せられたって感じなのかな? どうやら魔法陣自体はもう使えなくなっているようだけど、なんだか光ってるみたいだし、ランダムテレポートの誘導灯のような役割は果たしたのかもしれないけど……」
「うーん……これに関しては今考えても確かな答えは出そうもないな。それに今考えなきゃいけないのは、どうしてここに来たかより、これからどうするかだよね。……そう考えるとこの廃墟に飛ばされたのは幸運なんじゃないか? ここに人の気配はないけど、廃墟ということは少なくとも人が住んでいた実績はあるんだ。だとしたらここから人の生活圏が近い事は十分あり得るんじゃないかな?」
そうして思考を巡らすうちに、この危機から助かる可能性に思い至った
「よーし、希望が見えてきたぞ!
希望が見え気が大きくなった事で、一度はそう決意するも――
「……いや、探偵チートじゃ無理かも」
――と、すぐに現実を見つめ直す
「まぁとにかく生き残ることが優先だ。いつまでもこうしてはいられないよね」
そして
「うわっ! 何だなんだ!?」
どうやら足元の魔法陣から光が失われたようだ。
「ちょっと待って! 真っ暗は無理なんだけど!」
暗闇に怯える
今いる廃墟は天井が完全に崩壊してしまっているため、星明りや月明りなどの夜空の外光を遮るものが無い。
そのため廃墟の中に関してはある程度の視覚が確保されているようだ。
「月明かりのおかげで何とか周囲は見通せるな。けど……」
廃墟の外に目を向けると、そこには深い森が広がっている。
森の中は木々が月明かりを遮っているのだろう、暗闇が怪しく広がるばかりでこの中を進むのは無謀だと言える。
「うーん……どうすればいいんだろ? この暗闇の中を外に出るわけにはいかないよね……」
暗闇に目を凝らしながら、
「ひとまず手近なところで休める場所を探して休憩。で、明るくなってから廃墟とその周囲を探索――って感じかな? てか、そもそもここ何処なんだろ? 何か場所が分かる手がかりがあればいいんだけど……」
「この紋章……日本で言う『家紋』みたいなものじゃないかな? ――よし[探偵の鑑定眼]!」
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