最低最弱の転生魔王、魔王がこんなに弱くていいんですか?

レイスフィー

第1話 俺、人間なんだけど?

何時からだろう?こんなに自分が弱くどうしようもないくらい

役に立たない事に嫌気がさしていたのは。

恐らくここに来る前だろう

転生する前の俺は強いやつにまかれろな奴で

弱い奴には強気でいられた。

弱い奴がいじめられていても、それは弱肉強食の世界に生き残れない奴なんだって

思ってなんとも思わなかった。

それよりも自分が生きていくことで精一杯だった。

俺は虐められたくもないし、弱者だけど強者に喰われるなんてごめんだ。

必死で強いふりをし必死で強い奴の後ろを歩いていた。

そんなつまらない人生を歩み俺は成長した。

それでも社会で生きていくためには同じように必死でもがいた。

そんな生き方しかできない自分がたまらなく嫌だった。

弱い奴も、強い奴も皆ゴミを見るような目で俺を見ていた。

そうさ、俺はゴミ以下だ。

だから俺もこの世界に住む人間も嫌いなんだ。

こんな世界滅んでしまえばいい。

こんな自分なんか死ねばいいのにって・・・。

そんな自分を変えてくれたのがこの世界だ。

この世界では俺は魔王らしい。

魔王だ、世界最強の魔王!

のはずなのになんで弱いんだ?

魔法は・・・使えない。

力は・・・人並。

これって人間とどう違うんだ?

「魔王様!」

「え、あ、はい」

そんな俺に声をかけてくれるのが一人の少女

俺をこの世界に呼び寄せた一人だ。

「この世界は魔王様の世界です!きっとみんな魔王様の素晴らしさに感動して涙を流しながら喜んでくれますよ!

だって魔王様がお戻りになられたんです!」

「本当に俺は魔王なんですか?」

「またまた~、魔王様も冗談がお好きですね」

いや、冗談きついのはこっちのセリフだろ

「俺には世界を支配できるような力がなんだけど

それでも魔王と呼べるんでしょうか?」

「魔王様は魔王様です!強くなくても魔王様なんです!」

なんだろうこの人は魔王の信者か何かなんだろうか?

「俺はどこからどう見ても人間にしか見えないし、その辺にいるゴブリンにも負けそうな気がするんですが?」

「魔王様が人間なんかと一緒のはずないですよ!魔王様ならあんなゴブリンちょちょいのちょいでやっつけれます!」

「ググギギイイ!」

目の前にゴブリンがいるんだけどなんかやる気満々なんだよね

よし!やってやらあ!かかって・・・

バキ!

俺はゴブリンのこん棒で殴られ三回転半し大木まで吹き飛ばされた。

「ぐふ!」

「きゃあ!魔王様!!」

「いったあいいいい!!痛いよ!ママ!あ!血が出てる!

もういやだ!僕帰る!!」

「ああ!待ってくださいよぅ魔王さまぁ」

あーもう何が魔王だ。ゴブリンにすら勝てないなんて本当に魔王か?

人間並みの防御力で・・・ってそういえば大した怪我をしていない?

俺はそう言いながら手のひらや身体を見渡した。

「なんで俺は無傷なんだ?」

「それは魔王様が、不老不死だからですよ!魔王様は最強なんですから!」

それ最強の意味間違えてないか?

死なないってだけで痛みとかはあるんだぞ?




=現在の魔王パーティ=

俺・女信者



「ところで、ここは何処なんですか?」

「えーと、ここはですね、ジャナイの森です」

「じゃない?森じゃない?」

「違います!ジャナイの森です!」

変な名前の森だな。

「これから何処へ向かえばいいんです?」

「えーと、どうしましょう?」

「はえ!?ちょっ、しっかりしてくださいよ!あなたが俺を呼んだんでしょう!?」

「大丈夫ですよ!魔王様ならなんとかしてくれると信じています!」

それって他力本願って言わないか?

まいったな・・・この人、本気でわからないみたいだ。

こんな変な名前の森で呼ばれて転生し、魔王と呼ばれこれから何処へ向かって何をしたらいいのか分からない状況を、誰かこの女信者さんに説明できるだろうか?

そんな状況を打開してくれるような気がする気配を感じた。

「おや?こんな所に人がいやがる」

「おいガキ、身に着けてるもんとお金を置いていけば、命だけは見逃してやるぞ?」

盗賊の様な格好をした人間が数人、草むらからでてきた。

「へへっ、こいつ変な格好してやがるぜ?」

「もしかして、異世界人ってやつか?」

「異世界人を知っているのか!?」

「ああ、知ってるよ。よくこの世界に来てるな

んでもって俺らのかもになってくれてるよ。へっへっへ、なあ?」

「ああ、そうだこの間も似たようなガキがいてちょろかったよな」

こ、こいつら異世界人狩りか?

とりあえず俺は、何時もの如く5秒で土下座モードにシフトチェンジした。

「すんません!お金はないですが命だけは見逃してください!」

「悪いなぁ坊主、俺たちゃあ異世界人を狩るだけでお金がもらえるんだ。

だから異世界人と知っちゃあ生かして置くわけにもいかねえのさ」

「ガキは殺せ、女は生かして捕まえろ。高く売れるだろう」

「へっへっへ、今日もいい飯が食えるぜ」

クソ、俺はまた格好悪い姿でなにやってるんだ。

生にしがみついてこんな格好してどうせ殺されるなら格好よく

抗ってみるべきだったか。

俺は自分の過ちを後悔し悔しい気持ちでいっぱいになった。

「魔王様は・・・、魔王様は!この世界で不滅で!最強の存在なんです!!」

俺が土下座の格好でふさぎ込んでいると後ろから女信者の声の大きい叫びあげる声が聞こえた。

そして、俺の胸にも響いた。

「はははっ!魔王だってよ!魔王なんぞ滅びていねえよ!

今は勇王様が治めてらっしゃる時代さ

俺たちにとっちゃあ天国みたいな世界だからな

勇王様様よ!」

「勇王なんぞ知ったこっちゃない・・・」

「あん?」

「俺が魔王だ!俺がこの世界を!支配してやるんだ!!」

「何言ってんだこのガキ?」

「そうです!魔王様は世界最強なんです!」

そういうと女信者は剣を抜いた。

「魔王様はお下がりください!ここは私で十分です!」

女信者は風の如く盗賊の合間をすり抜け剣を振っていた。

女信者が剣を鞘に納めた瞬間盗賊の服が木っ端みじんに切り裂かれた。

「ひぃ!こ、こ、こいつ只者じゃねえぞ!」

「次は服では、すみませんよ?」

女信者の眼は鋭く光り盗賊を睨みつけた。

「く、くそ!覚えてやがれ!」

盗賊は裸のまま走り去っていった。

「魔王様!ご無事ですか!」

当の俺はというと

「きゃ!魔王様!お召し物がありませんがどうなさいました!?」

お前が斬ったんだよ!盗賊と一緒に俺の服もな!

「えーとね、恐らくなんだけどさ、君が斬ったんじゃないかな~って

思うんだ。」

「えー?私ですか?おかしいですね?」

おかしいのは君の頭じゃないだろうか

とりあえず俺はその辺の草や枝で大事な部分を隠した。

そうだ、盗賊が走り去った方向に行けば、もしかしたら村や何かがあるかもしれない。

俺は女信者に盗賊が去った方向に何かあるかもしれないと説明した。

「さすが魔王様です!やつらのアジトがあるにちがいありません!

これはもう盗賊を一網打尽にするチャンスですね!」

アジトだった場合一網打尽にされるんじゃなかろうか?

「あのですね、俺は村か何かがあるんじゃないかと思ってるんだけど」

「さあ!行きましょう!魔王様!」

聞いちゃいねえ~

まあいいや、アジトだった場合は逃げよう全速力で。








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