いくえの落書き
クライングフリーマン
いくえの落書き
================= 基本的にフィクションです ============
その机の「落書き」は消えなかった。
その昔、テーブル机の頃は、落書きが絶えなかった。
机は2人の生徒が共用して使う。
大昔、『男女七歳にして席を同じゅうせず』という言葉があったが、民主主義になり、教育基本法により、考え方が変わったからだ。
テーブル机の下には、2脚の椅子。テーブル机の下には『ロッカー的空間』。引き出しではない。
時代は移り変わり、机と椅子は1人分。テーブル机の頃と違い、「絶対消えない落書き」は書けなくなった・・・筈だった。
木目のプラスチック机は、取り外しも出来るし、サインペンで書いても薬剤で消せる・・・筈だった。
だが、その机は違った。
いつの間にか、誰かが書いた落書きが浮かんで来る。
「表面」ではないので、消せない。
生徒が「いくえの落書き」と呼んで、敬遠するので、学校側は、天板を取り替えた。
ところが、また浮かんで来る。
最終的に、校長は、廃棄を決意した。
ところが、廃棄された次の日、その机は現存していた。
体育教師の提案で、校庭で神社の神職を呼び、「お祓い」をした。
もう安心。
母親も学校も生徒も安堵した。
今度は、生徒会長の提案で、「防犯カメラ」を設置した。
警察の調べで犯人は分かった。
以前、学校に勤務していた、女性教師の「不純異性交遊」が母親の訴えで発覚。
教師は解雇、世間の批判も受けて、教員免許は剥奪された。
そして、その女性教師は半年後、自殺した。
え?誰???
机を撤去後、張り込みをしていた警察官が逮捕連行した。
自殺で亡くなった教師の双子の姉が犯人だった。
「不純異性交遊』はデマだった。
その相手の男子生徒の母親が『不倫』をカモフラージュする為に流したデマだった。
そのデマを流した母親は今、校長をしていた。
相手の男子生徒は、その学校の教師になっていた。
犯人の女は、あらゆるコネを使って噂を流した。
相手の男子生徒は「真山徹」、自殺した女性教師は『新貝郁恵』と言う名前だった。
そして、落書きの主なものは、『徹』と『郁恵』の『相合傘マーク』だった。
刑事は犯人の女に言った。
「道を誤ったね。気持ちは分かるが。」
「ええ、刑事になんかならなければ良かった。事件は曖昧なままに過ごせたのに。」と、犯人の新貝育子巡査部長は言った。
―完―
いくえの落書き クライングフリーマン @dansan01
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