貞操観念逆転の世界に転生しても、純愛あきらめない!
一一
第1話 幼なじみとの賭け——僕にとって大事なものをかけて
僕、望月優真はごく普通の高校生で、これといった欠点もなければ、取り立てて自慢できる長所もない。つまり僕の人生は、一言で「普通」と片付けられるようなものだ。しかし、そんな平凡な僕にも、まったく普通ではない幼なじみが一人いる。
彼女の名前は雪村一愛。一愛は僕とは違い、完全なる天才だ。小学校の頃からずば抜けた知能の高さを見せていて、確か小学三年生の時に彼女が退屈しのぎに作った発明品が特許を取って、五百万円にもなったらしい。
それだけでなく、高校に上がってからは容姿も申し分ない。漆黒の滝のようにすらりと伸びたツヤツヤの長い黒髪。透き通るほど白く、まさに雪で出来ているのではないかと思わせる肌。そして琥珀色の瞳。その瞳はいつも澄んでいて、冷静で、精密器械のレンズのように相手の慌てた様子をくっきりと映し出すのに、そこには一切の温もりが感じられない。
まさに传说中的のクールビューティーだ!……と言うか、元々それが彼女の本来の姿なのだ。
「私から離れてよ。気持ち悪いって分からないの?」「もう、男ってやつはみんな性欲の塊ね」「男なんて発情した猿よ。みんな消えればいいのに」
ご覧の通り、一愛はほぼ全ての男性を心底嫌悪している。彼女によれば、男はみんな発情した猿の性欲モンスターで、とても気持ち悪いらしい。まあ、彼女の考えも分からなくはない。最近になって、周りの友達の性欲が確かにとても強いことに気づいたから。とはいえ、全ての男性(僕)をそう簡単に貶められるのも困る!
『ねえ、それってちょっと決めつけが強すぎない? 世の中にはいい男もいるんだよ。あ、あんまり自分で言うことじゃないけどさ、ほら、僕みたいな男もいるでしょ?』
これはどうしても譲れない点だ。一愛に近づく男たちが下心を持っているのは分かっている。でも、だからって僕まであんな風に貶められるのは我慢できない! もしくは、一愛は僕のことをまったく男として見ていないのかもしれない。
ダメ、絶対ダメ! どういうわけだか僕と一愛は幼なじみなんだ。ひょっとしたら、僕は一愛の中で他の男とは違う存在なのかもしれない。そう、だって僕たちは幼なじみなんだから。別に変じゃない。うん、きっとそうに違いない。
「は?優真、まさか自分が例外だとか思ってないよね?」
一愛は鼻で笑った。その目は培養皿の中の微生物を観察するかのようだ。な、なんだ? 違うのか?
「あなたは『したくない』んじゃなくて、『できない』だけでしょ。だって、顔も成績もコミュ力も普通以下な人が、堕落する『機会』なんてあるわけないじゃない」
『機、機会がない?』
「つまりそういうこと。優真みたいに顔もイマイチ、成績もパッとせず、コミュニケーション能力に難ありな人に、モテる要素なんてあるの? まさか、私以外に女友達でもいるの?」
『いないよ』
「でしょ?だから優真は『できない』のよ」
『ち、違うよ!仮に僕がモテるようになったとしても、一愛が嫌うような男にはならないさ』
「な、なによ。たかが優真がそんなこと言うんだもん。そうだ、優真がそう言うなら、賭けをしてみない?」
『え、賭け?』
元々一愛がすごく緊張している様子だったから、彼女が僕の言うことを認めてくれるかと思ったのに、やっぱり信じてはいなかったみたいだ。でも、賭けか……。
「ちょうどいいわ、最近完成させた新発明があるの。これを使えば、男性がすごくモテる世界に優真を送り出せるのよ。ええ、優真みたいな誰にも愛されないフェラ豚でも、たちまち人気者になれるわ」
『なにっ!』
マジか!? 一愛の発明品がどれも世界を変えるようなものだってことは知ってるけど、直接異世界に送り込むだなんて、すごすぎる!それに、モテるようになれるだなんて、誰でも……ダメダメ、考えちゃいけない。
「あら?顔が赤いわね?まさか、まだ始まってもいないのに優真がもうこんな調子?もし本当に実現したら、優真は向こうでやりたい放題、自分専用のハーレムでも作るんじゃない?」
『するわけないでしょ!絶対にやらないってば。仮にそうなったとしても、僕は……』
「僕は、なに?」
『うるさいな、やらないって!僕は絶対にハーレムなんて作らない。どんなことがあっても、好きな人ひとりだけだ。他の女の子なんて、興味ない!』
「……え?」
変なこと言ったっけ?
「優真、今『好きな人』って言ったよね?好きな子がいるの?違うでしょ、私以外に女友達なんていないじゃない。まさか……」
『いないよ!そんなのいないって。もしもの話だよ。もし好きな人ができたとしても、他の人を同時に好きになったりしない、そんなクズみたいな真似は絶対にしないって意味だ』
「なーんだ、優真に好きな人がいるのかと思った。あらあら、優真はまだ好きな人がいないの?」
危なかった、バレそうになった。好きな人か。厳密に言うと今のところはいない。せいぜい、すごく気になっている人、ずっと側にいたいと思っている人がいるだけだ。
『いないってば』
「残念だわ。もし好きな人がいたら、あの世界で優真は思う存分、彼女にちやほやされながら好き放題できるのに」
『なにっ!』
「違う、やっぱり何か隠してるでしょ。はい、今なら白状したら許してあげる」
『ないってば。話はそれるけど、その機械ってなに?世界を越えるだなんてありえないよ』
僕は慌てて話題を変えた。今の状況で一愛に追い詰められるのはごめんだ。それに、もし彼女が本気を出したら、また何か発明品を使って僕から本当のことを引き出そうとするかもしれない。この件だけは、何があっても彼女に知られてはいけない。
「なーによ、結局優真もこれに興味あるんだ。さあさあ、こっちよ。私の家の実験室にあるから」
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