第5話
六凪が食料の入ったリュックサックを拾ってくる間に今後どうやって進むか考えていた。
歩きで行く場合は何回か高速道路で野宿をすることになるが、
車が通る可能性があり、危険だし道路で寝れる程俺の精神は図太くないので出来るだけ避けたい。
となると車かバイクで向かうべきということで、
駐車場の車を全て調べたが鍵が掛かってない、動かせそうな車はなかった。
日も暮れてきてどうしようと悩んでいる時、
「おーい、鍵見つけたよー。」
そう言って六凪が血で汚れた車の鍵を持ってきた。
「はいこれ、さっきの奴らの死体のポケットにあった。奴らが使ってた車も見つけたし、これで出られるよ。」
血まみれの鍵に恐る恐る手を伸ばして受け取る。
「まあ、いいか。先に手を出したのはあっちだし車ぐらい貰っても。」
車の免許を持つ俺が運転席に座る。
少しぎこちない手つきで車を発進させるとパーキングエリアから出る。
「やっぱりバイクより車の方が安心感あっていいな。」
「でも疾走感はないなぁ、バイクは体で風を切る感じが最高なのに。」
車の入手方法は最悪だったが俺も六凪もドライブを楽しんでいた。
カーナビからは一昔前に流行ったの曲が流れており、六凪が楽しそうに聴いていた。
「バイクだと曲聴きながら走れないからやっぱり車の方がいいな。」
「むぅ、そんなことないよ。ヘルメットに専用のヘッドホンつければ聴けるよ。」
「それは知らなかったな。本当、六凪はバイクとカメラには詳しいな。」
高速道路から真っ暗なトンネルの中に入る。
トンネルの中の電灯は光ってなく、車のライトのみで走らなければならず、かなり危険な道になっていた。
真っ暗なトンネルを抜けると、まぶしく光る太陽とキラキラと輝く青色が目につく。
とても美しい海が道路沿いに広がっていた。
「うわぁ、海だ。綺麗。」
六凪が海を見て子供のようにはしゃぐ。
「うん、綺麗な海だね。海を見ると友達と夕焼けに染まった海を見たこと思い出すなあ。」
「夕暮れの海か、見てみたいな。夕方になったらあの砂浜にいかない?」
「拠点にちょうどいい建物を見つけてから時間があったらね。」
海沿いを走っていくと道路の周辺にぽつぽつと建物が増え始めた。
その中には拠点にちょうど良さそうな建物もいくつかあった。
「ここらで止めて、探してみるか。拠点に良さそうな建物が見つかりそうだ。」
道路沿いで商業用の建物が多いなか拠点に良さそうな建物を探していると一戸建ての民家を見つける。
民家は昔ながらの木造建築で古びていたが、あまり荒れておらず十分拠点に利用できそうだ。
民家には鍵が掛かっておらず簡単に入ることができた。
民家の中を探索すると、リビングとキッチンに一体ずつゾンビがいたが六凪に速攻で殺される。
「いただきまーす。」
ゾンビをむしゃむしゃと食べ始める。
「やっぱり、ゾンビはうまぁい。」
六凪が満遍の笑みを浮かべる。
この家に食料はなかったが寝室にベットが二つあったため、拠点として十分使えそうだった。
寝室は外開きの扉だったため、扉を押すしか能のないゾンビに襲われる心配はなかったが、
古い民家だったため補強が必要な箇所が多くあった。
とりあえずは一番ゾンビに突破されやすい窓を釘と木片で補強しているんだが、
何故か六凪がチラチラと俺を見てくる。
「?、どうした六凪。そんなにこちらを見て。」
「いやー、いつになったら作業終わるかな。早く海を見に行きたい。それにもうすぐ夕方だから出掛けないと見逃しちゃう。」
補強中の窓から外を覗くと、太陽が沈みかけていた。
「できればもう少し補強したかったが明日でも別に困りはしないか。」
六凪に聞こえないような声で小さく呟く。
「わかった、海に行こう。」
俺の言葉に六凪はゾンビを食べる時と同じくらいの満遍の笑みを浮かべる。
先ほど海が見えた道路まで車で向かった。
道路にはガードレールがあり、ガードレール越しに海が見える。
ガードレールから下を覗くと砂浜と海が見えた。
ただ今いる場所と海には高さに50メートルの差があり降りられそうにない。
「どうする六凪。あの海までどうやっていくんだ。ロープを使って降りるか?」
「いや、飛び降りる。」
「いや、何言って、、、うわぁ。」
六凪が俺をお姫様抱っこし始める。
体格差も体重差もかなりあるはずなのに軽々と持ち上げられる。
「やめろ、まじ死ぬ、死ぬって。」
慌てて六凪の手から逃れようとするが、がっしりと体を掴まれて抜け出せない。
「ほら暴れると危ないよ。大丈夫、下は砂浜だしあたしもちゃんと着地するから。」
「そうゆう問題じゃない、そういう問題じゃない。」
「ほら黙って、喋ってると舌噛むよ。」
そのままガードレールに歩み寄り乗り越えると、
空中に足を踏み出し、砂浜めがけて落下し始めた。
「・・・・・(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ)。」
舌を噛むのが怖くて心の中で叫ぶ。
凄まじい風圧が身体に襲いかかり、
思いっきり地面に着地する。
身体に響くような衝撃が加わるが痛みはない。
「ほら、大丈夫だったでしょ。」
「いや、無理。やばい吐く吐く吐く。」
着地の衝撃が腹に響いた俺は吐き気に襲われる。
「おろぇぇぇぇ、、、」
砂浜の隅でグロッキー状態になりながら吐く。
「ねぇ、吐いていたら夕日と海見れないよ。」
「いや、そんなこといわれたってあんなの耐えられるわけ、おえぇぇぇぇ、、、」
「全く情けないなぁ。」
六凪はカメラを取り出して海と夕日を撮り始める。
オレンジ色に染まる海とまるで大きな宝石のような夕日。
言葉に表せない程美しい景色。
「いやー、来てよかったな六凪。」
復活した俺も六凪の隣に立ち夕日と海を見つめる。
それからしばらくは一言も交わさずに美しい景色を見ていた。
夕日が沈み暗くなると六凪に話しかける。
「なあ、六凪。この後どうやって帰るつもりなんだ?」
「あー、考えてなかった。」
六凪のことだろうからそんな事だろうとは思っていたが、、、どうしよう。
「あたしがあんたおぶってあの崖登るってのはどう?」
「、、、嫌だけどそれしかないな。」
六凪が俺をおぶりながら崖を登ったのち、車に乗って拠点へ戻る。
その後拠点で晩飯を食べると、寝室でゆっくりと睡眠をとるのだった。
ゾンビが蔓延る世界で二人旅 れめな @rmune
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゾンビが蔓延る世界で二人旅の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます