第15話 変わった龍斗
「龍くんなんか変わった?」
「いきなりどうした?」
「いや、だって……」
凜々花は周囲を見渡しながら少しだけ焦ったように言ってきた。
きっと凜々花が言いたいのは周囲に人が大勢いるのにため口で話していることだろう。
確かにそういう点は変わったのかもしれない。
「どうした?」
「いや、ほら。龍くんって周囲に人がいる時うちにため口使わなかったじゃんか」
「確かにそうだな。でも、もう別に良いかなって」
「いきなり吹っ切れたね。何かあったの?」
色々あった。
でも、それをわざわざ凜々花に話すような事でもなかったから言わないでおこう。
「別になんもねえよ。それよりも、なんでそんなによそよそしくなってんだよ。せっかくの綺麗な顔が台無しだぞ?」
「綺麗な顔ってゆ~ても龍くんは見えてないでしょ?」
「いや、今日はしっかり見えてるぞ? なぜならちゃんと度があってるメガネをつけてるからな」
「言われてみれば……メガネが変わってる」
昨日、乃彩にお願いして新しくメガネを発注しに行ったのだ。
勿論すぐにメガネができるわけないので、それまでは度があってる安いメガネで代用することにした。
メガネは良い物を使った方が人生が彩豊かに見えると改めて実感した。
「だろ? ちゃんとしたのは後日取りに行くからこれは急ごしらえだけどな」
「じゃ、今はうちの顔がはっきり見えてるってこと?」
「ばっちり見えてるな。想像以上に綺麗な顔をしてて正直驚いてる」
「じゃあ、好きになった? なったでしょ!」
かなり食い気味に聞いてくるじゃん。
惚れたらえぐい振られ方するって聞いてるから絶対に好きになることは無いんだけどな。
「ないない。冗談キツイって」
「全然冗談じゃないんですけど!? なんで素でうちの事みて好きにならないわけ? 意味わかんない!」
「ほら、人間顔だけじゃないだろ? 性格とかさ」
「性格が悪いって言いたいわけ!?」
なんだか、今日はやけにテンションがおかしいな。
というか、コンタクトにしても良かったんだけど準備ができなかった。
てか、コンタクトは何となく怖いからまた次の機会でという事で。
「そういうわけじゃないけど、なんかね」
「なんかって何なん!」
今日は一段と騒いでいる凜々花にクラス中から奇異の視線を向けられる。
少し前までは僕が永遠に揶揄われているような光景が繰り広げられていたのに、今は立場が逆転してしまっている。
そんな僕たちに一層視線が集まる。
「まあ、まあ落ち着けよ」
「龍くんのせいなんだけどな」
こんな風に前向きに凜々花と会話をするのは初めてかもしれない。
これも、心菜の墓参りに言ったおかげだな。
前みたいに死にたいとか、自分だけ幸せになっていいはずがない! みたいな考えから抜け出せたし。
「でも、本当に変わったね」
「そうか?」
「うん。前よりも生き生きしてるよ」
「なら、良かったよ」
忘れることなんて出来ない。
それでも、心菜の死を噛みしめて受け止めて生きて行こうと思う。
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