彼女は、音楽と一緒に書いてきた

そのお題を見た瞬間、

彼女は「これは乗れる」と思った。


理由は単純だった。

音楽を聴きながら文章を書く、という行為が、

彼女にとってはあまりにも日常すぎたからだ。


まず、いつも聴いているCDを数枚、棚から取り出してみる。

それは、彼女が学生時代から聴き続けてきたものだった。


レコード針を落としていた頃も、

CDの再生ボタンを押していた頃も、

そして今、画面をタップするだけになっても、

流れてくる音楽は同じだった。


背筋を伸ばして、一歩前に出るとき。

頭の中で、あの旋律が鳴る。

エルガーの威風堂々第1番。


華やかなシーンでは、ショパンの英雄ポロネーズ。


ドラマティックで悲愴感が漂う場面では、アルビノーニのアダージョ。

「溜め」が長い。

これでもかというほど、溜めが続く。


曲名を知らなくても、

たぶん一度は耳にしている。


作曲者を思い出せなくても、

その音楽は、確実に人生のそばにあった。


♪.+:。 。:+.♪.+:。 。:+.♪.+:。 。:+.♪.+:。 。:+.♪


なお、作曲者が思い出せずに

「チャイコ!」で全員一致した日のことは、

また別の話である。

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