おれ時間

五月兎夢

#0 イントロダクション


 ビルとビルの路地を抜けた先には、2人掛けベンチがぽつんとある、薄暗い小さな空間があった。そこにあったのは、カフェだ。入口の上には、弧を描くように木が生えている。その木に吊るされた看板にはチョークで「珈琲:ミルト」と、書いてある。

──────カランッ コロンッ──────

「いらっしゃいませ!!」

 扉を開けた途端、元気いっぱいの挨拶が飛んできた。その声の主は、ベージュ色のエプロンを身につけ、ウルフカットのミルクティーピンクカラーの髪を、ハーフアップに仕上げた、イカした兄ちゃんだ。

「ご注文は?どんな要望でもお答えしますよ!」

 そう問い掛けてきたのは、前髪を後ろへ流し、ボリュームを出した黒髪の、これまたイカした兄ちゃんだ。

「……」

 ──────────────────────

 ここは、この2人が営む、最近少し流れに乗ってきている、知る人ぞ知る穴場のカフェだ。

 

 この物語は、このカフェのオーナーを中心に、その周りの人達の仄仄ほのぼのとする、趣味を満喫しまくる日常を描いた物語だ。

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