第24話 新たな旅立ち

鬣犬が現れなくなってから五日が経過し、甚兵衛と弥市、そして母親は村の中で丁重にもてなされていた。

村人たちは彼らの勇気と犠牲に深い感謝を示し、和やかな交流の時間が流れていた。



甚兵衛は心の中で決意を固めていた。

鬣犬を追い続けることを。

何年かかろうとも、必ず見つけ出し、真実を明らかにするために。


ある朝、甚兵衛は弥市と母親に別れを告げた。

弥市と母親は村に残り、元の場所へ帰ることを選んだ。

村との和解が進み、交流が生まれたことで、彼らは新たな生活を始める準備ができていた。


七日目の朝、甚兵衛は村人たちに見送られながら、静かに旅立った。

彼の背中には、これからの長い旅路への覚悟と希望が宿っていた。

森の風が彼の頬を撫で、まるで新たな時代の幕開けを告げるかのようだった。


それから1年後、森の入り口には狛犬の神社が建立され、村人たちは毎日熱心にお参りを欠かさなかった。

厄災が二度と村に訪れぬよう、祈りを捧げるその姿は、かつての恐怖を乗り越えた強さの象徴であった。

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