第2話 とあるスナイパーの判断

 シルンは弓矢を選んだ、双槍、双剣は外し、腰に残すのは程よい剣、防具も軽くした。

 シルンは冷酷非情にスナイパーを選んだ。

 シルンは家族釣りする忍者を棄てた、英雄の証明は棄てた、勲章は棄てた、友を切り捨てた、家族を切り捨てた、様々に非情な判断を下した。

 シルンは生前からスナイパー、弓矢は調整中、誰よりも非情な判断を下せる優秀な兵士だった。

 様々に非情な判断を下せる側は下した。

 デーモンズ、ストーカーズが暴れる世界のとある大陸の中央。  

 シルンは狙撃を鍛える。

 魔法は1分間に一発、弓矢は1分間に10発、連射性が違う。

 矢筒に20本、切れたら剣、ククルナイフは投擲に1名と数える。

 右手、左手を鍛える。

 保護色、迷彩色を鍛える、シルンの判断は他にも波及、このシルンの非情な判断が村と自警団の運命を変えた。


 「シルン、単なる弓矢ではデーモンズ、ストーカーズに勝てないぞ」

 「ああ。英雄の証明は棄てた」


 もっとも冷静な一言。


 「弓矢が通じる側に絞るよ」


 祖父、父親、兄、姉はシルンがもっとも冷静な判断を下した事を理解した。

 村の自警団が全滅する位のデーモンズ、ストーカーズが来るなら、シルンの非情な判断は唯一無二の正解になる。

 モンスターに通じる弓矢、真正面から戦うより、遥かに有利に進む。

 

 「逃げる準備か?」

 「ああ。英雄の証明は棄てた」


 勝てない戦いは逃げる、父親はシルンの方がまともだなとわかる、兄や、姉のように死を急がない。

 

 「双斧より、利き手に盾がいいじゃないかな?」


 苦笑いの祖父、この発言にわかる、兄、姉はシルンの助言が正しいと判断した。

 

 「双斧って切り札は投げる斧、なら片手は盾がいいじゃないかな?」


 一家でもっとも冷静な一言。

 

 「兵法で二倍なら挟め、三倍なら囲え、進むのは処女を抱く如く、逃げるのは脱兎の如し、国破れて山河あり、勝てば官軍負ければ賊軍っていうじゃない」

 

 シルンは悪い青年になったが、言うことは正しい。


 「勝てない戦いは逃げていい、勝てば官軍負ければ賊軍っていうじゃない、英雄の証明より、国破れて山河ありでしょう、春は巡るしさ、明けない夜はない、終わらない冬はない」

 

 人一倍に双剣、双槍に拘ったシルンの選んだ答え。


 「弓兵なら、槍兵より、長生きするしさ、わざわざ死を急がないのは、神様達が許した正義なんじゃないかな」

 「なら魔法は?」

 「魔法は弓矢を10本に一回じゃん」


 戦いに散る気はない、多くの団員が許した、兄、姉はシルンの助言、この利き手に盾が正しいとわかる。

 

 「魔法にデーモンズ、ストーカーズが倒せる?」

 

 祖父は苦笑い、できない事はしない、デーモンズ、ストーカーズの戦いに散る気はないとわかる。


 「マジックアイテム一つで代わるじゃん」


 村の魔法使いは苦笑い、マジックアイテムを使えば早い、根本的な一言。

 

 「マジックアイテム一つで代わるじゃん、なら魔法を鍛えるより、マジックアイテムを買える財布を鍛えるのがいいよね」


 根本的な判断、根本的な一言、根本的な装備、根本的な生に歩く。

 

 「なら逃げるとは、マジックアイテム一つを買う財布だよね、マジックアイテム一つなら、射程距離の攻撃魔法一つがいいな、一つで足りるからさ」


 祖父より、遥かに賢いシルン、

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