第4話 魔法書
♢
しかーし、このロールプレイングゲーム(RPG)みたいなこの世界って、ホントに現実なのかなぁー。
ここ二ヵ月ぐらい、ずーっとおんなじ生活繰り返してるけど、変わったことといえば、杖を持ったぐらい。
杖って、大きく分けて二種類あって、
あたしが選んだのは、大きい方の杖で、理由は攻撃魔法でバケモノなんかを殴るため。
あのあとわかったことなんだけど、あの狼男みたいなのを人間に戻したのって、どうやら魔法の力だったらしーんだよねー。
ちょうどいいサイズのカッコイイ杖があったから、それにしちゃった!
困ったことといったら、師匠が頼もしい師匠でいるゴールデンタイムが、ほんのわずかな時間だっていうことだけ。
あとーー。なんでこの世界には、イイ男が全然いないわけーー! それともこの村の中だけーー!
って言っても、みんなすごーく優しくしてくれるから、それはそれで良いんだけどねー。
でもこのままだと、その「だけ」がどんどん増えてっちゃうー。
でも、この杖は正解だったなぁー。魔法の力が断然込めやすい。
思い荷物とか岩とか簡単に持ち上げられるしー。ちょー便利!
でもでもー。修復魔法のときは、やっぱり手からじゃないと直せないんだよねー。
でもー、壊れた部分同士をくっつけてちょっとチカラを込めると、簡単に直せるっていうのはわかった。
あの狼男みたいなのから人間に戻った人、やっぱり山賊だったけど、その変身していた間の記憶がまったくないっていうのもわかった。
だからって、あのときみたいにいちいち殴って正体を確認するなんて余裕あるのかなぁーー。
安全な距離から正体がわかる攻撃ができればなぁー。
その良い練習方法もないんだよねー。
もーちょっと展開的に都合よくいけるようなことはないのかなぁー。
この世界の言葉は都合よく理解できたけど、この世界の人たち、どー見たって日本人じゃないし……、この世界の文字は見たことない文字で全然読めないし……。
なーんで言葉はわかって、文字は読めないんだろ? 文字が読めるようになる魔法があればいいのに。
そうすれば難しい魔法書も読めるんじゃないかなー。
「師匠、教えてーー!」
「なんじゃ? 大きい声を出して」
えっ!? ちょーどいま来ましたゴールデンタイム!
「師匠、ここにある本を全部勉強なしで魔法で読める方法はありませんかー?」
「ここにある本が読みたいと?」
「はい! ぜひ!」
「よかろう。翻訳の魔法じゃ」
あーーーっ! この部屋の本棚にある本の背表紙のタイトルが読めるー!
「師匠、ありがとうございます!」
「はぇー。なんじゃ?」
良かったー! ぎりぎり間に合った!
本を読むなんてひさしぶりだなぁ~。ちょっと懐かしい。
ふむふむ。なるほど……。師匠、けっこう良い魔法書持ってたのかも。
あたしが探してる魔法が書いてある本あるのかなぁー。
あったとしても、見つかるまでずいぶんと時間が掛かりそ。
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