頑張ることを諦めた俺を気に入ったのは学年で一番クールなあの子!?
ドラゴロイド
第1話 さくら♪さくら♪今咲き散りぬ
202X年4月。
俺は今日から高校1年だ。
っといってもやることは変わらない・・・いや、変わったのは俺の価値観なのかもしれない。
俺の名前は香田龍也(こうだたつや)。
見た目は平凡、勉強も平凡、運動も平均。
何をやっても中途半端な男だ。
「来たか。龍也」
「・・・何だ兄貴か」
「何だじゃないだろ」
「・・・どうしてこんな朝から」
「俺が生徒会長だからな」
「・・・マジか」
この人は香田恭平(こうだきょうへい)。俺の血のつながっている兄であり、
めっちゃ天才。それでいながら運動神経も抜群な完璧人間だ。
本当にこの人と俺が血がつながっているのか疑うレベルだよ。
「どうした?」
「いや、何でもないよ」
「父さんと母さんは来るのか?」
「俺の入学式にくるわけないだろ」
「それは・・・」
「兄貴が一番わかっているんじゃないのか」
「・・・・」
何でそんな苦虫を嚙み潰したような顔をあんたがするんだよ。
そんな顔俺がしたいわ・・・ってそんなことする元気なんてもうない。
「っていうか俺が来なくていいって言ったからな」
「なっ!?何でそんなこと言ったんだよ!?」
「ちょっと、どうしたんですか会長!?」
「あっ・・・何でもない」
あわやってところで近くにいた同じ生徒会の人が止めてくれたみたいだ。
「俺のことに労力を割いてほしくないのよ」
「・・・そんなこと言うなよ」
「だって、一番無能な俺が「だからそんなこと言うな」・・・分かったよ」
こんな感じで兄弟仲は最悪です。
俺には後大学3年の姉と中学2年の妹がいるんだが、どっちも優秀でな。
姉も天才で、全国模試でトップ10に入る逸材だ。
妹は勉強はできないが、運動神経は抜群で色んな部活でめっちゃ活躍している。
それに比べて俺は全部が平均だ。
だからついたあだ名が、「香田家のハズレ」もしくは「香田家で一番の無能」。
最初は俺も頑張ったさ。姉や兄みたいに頑張ろうと。
けどな・・・どんなに頑張っても壁は大きかったてやつだ。
特に兄ね。2歳差だから、同じ小中だと先生も知っているわけなのよ。
酷かったぜ。小学校や中学校の先生が。
「お兄ちゃんは解けていたよ」とか「お兄ちゃんはもっと動けていたよ」とか言ってくるんだぜ。心が逝かれるよ。それでも、小学の時はまだ、「君とお兄ちゃんは違うんだから頑張って」って応援してくれる先生もいたけど、凄い惨めだった。
中学の時は本当にひどかった。部活に入れば、「こいつは恭平の弟」としか見られない。だから、部活に入ることを辞めたのだ。絶対比べられるからね。
勉強はとにかく頑張って学年で20位ぐらいはずっとキープしていたけど
「お兄ちゃんは1位だよ」
「アイツのお兄ちゃんはすごいのにな」
「兄貴に全部才能吸われたんじゃね」
とか馬鹿にされる始末。それに家でも。
「お姉ちゃんはこうだったのに」
「恭平はこれだけやってきたんだぞ」
とどんなに頑張っても褒めてはくれなかった。
努力をして結果に出ても、それを姉や兄は簡単に越していく。
そしていつしか俺は・・・努力することを諦めてしまった。
どんなに努力をしても、姉兄たちと比べられて褒めてもくれない。
誰も俺を俺として見てはくれない。
死ぬ気でやったのかというが、結構頑張ってはいたんだぞ。
それでも・・・結果はお察しの通りだ。
俺が3時間やってきた努力をこの兄は10~20分でできるだ。
もう・・・笑うしかない。
けど、もう笑えない。
「じゃ、兄貴」
「あ・・・あぁ」
俺はもう諦めている。
兄に勝つことを。2番煎じであり才能がない弟じゃあ無理であることを。
「けど・・・一度は勝ちたかったな」
昔はそう思って頑張ったのにな。
今は負けても仕方ないって諦める。
だって、どんなに頑張っても勝てやしないなら、諦めたほうが楽だろ。
逃げって言うのかな。けど、そのほうがいい。
どんなに頑張って認めてもらえない努力をするよりは心が楽なのだから。
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ってことで新作を投稿です。
この小説の主人公は私自身の投影です。
どこかで書いたと思いますが、自分自身が末っ子で兄が2人いて、
「○○はこうだった」
「○○はすごかったぞ」
って結局親に褒められた記憶がなく、怒られた記憶しかないんですよね。
頑張っても兄や姉、妹と比べられてきた主人公がどういう青春を過ごすのか必見です。
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