三層

「ウガク! 一体だけ取りこぼした!」

「問題ない」


 三層の中盤に出没するアーマーリザードは、体表が硬く並みの剣では刃が通らない。だが、洗練された剣技があれば話は別だ。

 そういった意味でガイツの重剣と剣技は三層でも通用し、初級者殺しのアーマーリザードにも対抗できていたが、さすがに三体同時の対処は不可能だった。


 それでも、中衛に位置したウガクが、これまで封印していた剣を披露し、一瞬のうちにアーマーリザードを両断していた。


「うわ、すっごい! ウガクがいなかったら私たちやられてましたね!」

「【防壁】も【泥濘】も間に合わなかった……」


 治癒士であるロルマニは現実感が乏しいのか若干ハイになっていて、魔法士のウロラは逆に意気消沈している。


「そんなことない。ウロラの【防壁】は発動して効いていた。だからオレの剣でも倒せたんだ」


 ウガクは少女二人に優しく告げる。

 三層中盤から一気に負荷が強くなり、多くのパーティが自信を喪失してしまう。

 これまでのように、いずれ離れていくパーティなら正直に問題点を指摘していたウガクも、一緒に進むと決めた以上は、彼らの意志が折れないように全力でサポートするつもりでいた。

 それに、能力自体は十分に足りているのだ。勇気を持って、もう数秒早く行動開始できれば、ウガク無しでも三層は突破できると確信していた。


「それにしても、剣も使えたんだな」


 ガイツが呆れたような顔でウガクが魔法鞄に仕舞った剣を視線で追いながら言った。


「ま、手慰み程度にな」

「どう見ても業物に見えたんだけどな」

「仮配属の身分なんで、詮索は勘弁してくれ」

「リーダーとしては、最大戦力の把握はしておきたいんだが?」

「ウガクのことだから、魔法も使えたりして」

「ね、ホントはなんでもできそうですよね」


 三人がウガクを見る目は、日増しに尊敬と称賛の色が濃くなっていた。その空気はウガクにとって失いたくない存在になりつつあった。


(これがララとルルを諦めて、先に進むということなのかもな)


「ん? 何か言ったか?」

「いや、なんでもない。それじゃあさっきの反省会をするぞ」


 そうやって、戦いのたびに三人の行動に指摘と助言を行い、彼ら四人は結束を深めながら三層を進んでいた。

 そして、あとわずかで三層の階層主にたどり着けるという場所で、ウガクは25年ぶりに虹色の光に遭遇した。

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