ヤクルトと夢のない男
@scscjofjwef
ヤクルトと夢のない男
俺はスリだ。
盗みだけで生計を立てている。
いや生計どころか夜遊びも思いのままだ。
この仕事が向いているのだろう。
(つーかそれ以外何もできない。)
そんなある日だ。
俺はいつものように財布を盗み出した。
俺は俺の指を使って仕事をする。
これは正当な行為だ。
言葉や頭だけで金を稼いだり、土地や証券だけで金を稼ぐ糞どもから奪われたものを、自らの手で取り戻すのだ。
俺の指にはそれができる。
現代人は考えることすらも機械に任せていやがる。
そんなクズから金を巻き上げることにいったい何の躊躇があるだろう?
盗んだ財布を改めると以上に気づく。
小銭の音がしないのは今日日めずらしくもないが、二つ折りの財布を開けてもクレジットカードどころかレシート一枚入っていない。
(ちくしょう!ダミー財布を仕込んでいたのか…!?)
札を改めるまでもないだろうと思いながらも、念のため俺は革の間に指を突っ込む。
するとそこには一枚の紙が入っていた。
紙はヤクルトの交換券だった。
券にはこうメモが書かれていた。
「今ならまだ間に合う。」
ヤクルトと夢のない男 @scscjofjwef
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます