第4話 古代都市の法則(ルーラー)と教団の策動


リーサは、何層にもわたる『認識結界』をかいくぐり、古代都市の遺跡内部に辿り着いた。内部は風化が進んでいるものの、巨大な石造りの構造物が並び、かつての栄華を物語っている。


【リーサ】「この規模...古代の人々は、一体どれほどの知識を持っていたのだろう...」

エリウスから与えられた座標に従い、リーサは遺跡の中心部に位置する『法則の神殿』と呼ばれる場所に到着した。そこには、一つの巨大な石板が残されていた。


【エリウス(通信にて)】 「リーサ、その石板には、古代文明が失った『都市運営の法則(ルーラー)』が記されています。これがあれば、『聖典の欠落』によって機能不全に陥っている現代の流通と農業のシステムを再構築できる。」


【エリウス(通信にて)】 「しかし、知識は失われた言語で書かれています。あなたの司書としての知識を全て使い、その法則を解読し、記録しなさい。これはスピードが重要です。」

リーサは巻物に没頭する。古代語の知識と、エリウスから託された『知識の欠片』の経験が彼女の集中力を極限まで高めた。彼女の解読が完了すると、石板は音を立てて崩れ去った。


リーサが解析した知識を、簡潔な報告書として図書館へ送り返す。地下のエリウスは、その知識を瞬時に整理し、「現代でも再現可能な流通システムの術式」へと変換した。

【エリウス】「成功です。これで、食糧生産と物流の麻痺は徐々に解消に向かうでしょう。リーサの行動は、世界の崩壊をさらに遠ざけた。」

しかし、知識の復元は、世界に新たな波紋を生んだ。

【エリウス】 「...ですが、また別の知識が、世界から失われました。今度は『魔導技術の動力源』に関する部分です。どうやら、世界は私たちに知識を奪還するたびに、何かを代償として奪っているようです。」

エリウスは、この現象が、自分がかつて封印した『世界の真実』と関係していることを悟り、焦りを覚える。


イムロスでの治療、古の砦での結界術の成功、そして今回の流通改善の噂は、『教団(オラクル)』の急進派を本格的に怒らせた。彼らは、エリウスの知識を「世界を堕落させる悪魔の叡智」と断定し、リーサ抹殺のために行動を起こす。

教団の幹部、アシェラ(20代後半の魔術師)が、遺跡周辺に強力な『追尾の結界』を張り巡らせる。リーサの居場所は完全に特定された。

【アシェラ】「司書リーサ。邪悪な知識に手を染める愚か者め。神の意思により欠落した知識を復元するなど許されない。お前はここで、古代都市と共に塵となるがいい!」

アシェラは、リーサがまだ遺跡内にいると確信し、強力な破壊魔術を遺跡全体に放ち始めた。

4. 危機一髪の脱出とエリウスの秘策

巨大な衝撃音が鳴り響き、遺跡の天井が崩落し始める。リーサは古代都市の知識の記録を終えた直後だった。

【リーサ】「くっ...これが教団の力!私がここにいることを、どうして知られた!?」

【エリウス(通信にて)】 「リーサ!動揺しないで!教団はあなたの『知識の欠片』に反応しています。すぐに脱出してください。私の次の指示に従うのです!」

崩れゆく遺跡の中で、リーサは咄嗟に第3話で学んだ『防御結界術』を身に纏い、必死に瓦礫を避ける。

【エリウス(通信にて)】 「遺跡の東側、地下水路の先に、私が以前設置した『転移の秘術』が隠されています。その秘術を起動させるには、あなたの『防御結界』の魔力が必要です!」

リーサは教団の追撃を受けながら、防御結界の魔力を振り絞り、転移の秘術の起動を試みる。その瞬間、リーサの姿は強い光に包まれ、遺跡の瓦礫が崩れ落ちる直前、その場から消滅した。


【アシェラ】「消えた!?まさか転移術式だと!?...いや、痕跡が薄すぎる。ただの愚かな司書ではあり得ない...。裏に、巨大な叡智の存在がいる。」

教団の幹部アシェラは、リーサを追うことを諦め、「知識の源」の特定に舵を切る。

一方、転移に成功したリーサが目覚めたのは、一見普通の村の診療所だった。

【エリウス(通信にて)】「無事でしたね、リーサ。あなたは転移の秘術で、私のかつての協力者たちが守る『知識の保護者(プロテクター)の村』に移動しました。次は、彼らから『対・教団対策の知識』を学ぶのです。」

エリウスとリーサの戦いは、知識の奪還戦から、それを狙う勢力との全面的な対決へと進み始める。

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