革命前夜

@Akamaru310

第1話「森」

どれくらい歩いただろう?私はこの森から一生抜けられないのだろうか?私はこの暗い森の中ですでに十数余の日の出を迎えた。正確な回数は七回目以降数えていない、数えていると希望を失いそうで怖かったからだ。毎日毎日どれだけ歩いても同じ景色が延々と続く。「我こそが太陽の陽光を独り占めするのだ」と大木どもが幹を連ねて威勢良く空に向かって伸びている。そのせいか草本、木本は全く育たず、私の足下にある植物と言えば岩にむした苔だけである。時折大木を引きずり倒そうと蔦が太い幹に絡みついている様子も確認できるがやはりどれも徒労で終わっているようだった。

私は岩に腰をかけた、今日は起きてから今まで歩き続けていたので眺めの休憩を取ることにした。私はボトルの貴重な水を一口飲んだ、二日ほど前に組んだボトルの水が底をつきかけている。「森を抜ける」というミッションの傍らに「水を見つける」というサブミッションが設けられた。私はふっとため息をついた。しかし不思議なことに私はこのゴールを遠ざけるサブミッションを心のどこかで歓迎していた。人間の適応力とは恐ろしい物だ。私は最初こそ森から抜けられない事に恐怖心を抱いていたが、今ではこの森から抜け出して日戻事に逆にちょっとした恐怖心を抱いている。故に帰れない理由が増えてホッとしたのだろう。十分くらい休んだだろうか?私はおなかが空いたので山菜あるいは食べられるキノコがないかとそこら辺を散策した。一昨日までは持ってきていた食糧を小分けにして食べていたのだが、残念なことにそれも底をついてしまった。だから一昨日からは都会でも見慣れたようなっさんさいを食べて食いつないできた。キノコの方が腹に溜まりそうだからキノコを食べたかったが、私はキノコに精通しているわけではなかったのであからさまに毒々しいキノコ達を食べる勇気は出なかった。そうこうしているうちに夜が来た、私は山菜をサッと炒めて食べた。幸か不幸か私はキャンプの帰りに遭難したので調理用の装備も一式あった。おいしくはないが腹は満たされた。腹が満たされると急激に睡魔に襲われたので私は焚き火を眺めながら横になった、火があると落ち着く。昼間は鬱蒼としていた森が月明かりに照らされて眠気を誘う優雅な大自然へと変貌を遂げた。なんとも美しかった。「この生活も悪くないな」そんな不思議な感情が沸いてきた、しかしこれに私の理性が「何馬鹿なことをかんがえているんだ」と冷静に突っ込みを入れる。そんな感情の攻防を横目に私は眠りに落ちた。

次に目が覚めたのは明け方だった。とてつもない寒さで目が覚めた。火が消えてしまっていた。私は身震いと同時にサブミッションを思い出した。水がを飲みたい。その欲に駆られ私はまた森の中をさまよい始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

革命前夜 @Akamaru310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る