　豪炎の死神ゼヒド・スクワローが脱獄した為、生徒の安全を考え、今日の授業は早めに終わった。俺とリリーナは教会を出て、今は帰路の途中。

「豪炎の死神ゼヒド・スクワローだって、何だか怖いね」

「心配なら、いらないと思う」

「フェリス、どうして？」

「だって、この村にはＳランク冒険者のレッドさんが居るでしょ。それに、お兄ちゃんだって居るしね」

　そうだ。心配する事など、ありはしないさ。

「でもね。もし……もしだよ。家のお兄とレインさんが、この村に居なかった時はどうするの？」

　あの二人が、ここに居なかった時？　もし万が一、そんな時に奴がここへ来たとしたら、この村は……。

「ねえ、リリーナ？」

「なになに？」

「レッドさんって、今どこにいるの？」

「お兄はねえ、王都に行ってるよ。何か、偉い人に呼ばれたんだって」

「そう……なんだ」

　ちょっと待て。今はレインも探索者の仕事で、この村には居ないぞ。おいおいおいおい、まさか……。この状況って、フラグじゃないよな？

「フェリス、どうしたの？　何か、不安そうな顔してるよ」

「あ、だ、大丈夫だから。心配しないで」

「それなら、いいけど」

　王都に行ったレッドは、直ぐには戻れないだろう。レインの方も、今日は帰れないかもしれないって言ってたし。この状況、ヤバくね？

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