幸せだから死にたいと思った

Question

第1話 初めて死神に会った日

僕は二階のベランダの淵に座り叫ぶ


どうせ、僕なんて生まれなければよかったんだ。

今からここから飛び降りて死んでやる


それは僕が5歳のころだった。


その時、僕は死神に出会った。


--------

僕は一般的な家庭の長男として生まれた。

母はヒステリックを起こすことが多く

何か、ミスするたびにひどく叱られた

対して父は傍観者で何もしない

助けを求めてもせいぜい両方の肩を持って慰める程度だ。


そんな両親は馬が合わないらしく、毎日喧嘩していた

そのたびになぜか聞かされる。

僕が泣いたって叫んだって止まることはない喧嘩。


だから、飛び降りようと思った

今なら分かる。どうせ2階からじゃ飛び降りても死なないと。

結局飛び降りることはなかった。


死神が笑っていた。

「子供の命は七つまでは神のものだとかいうが、

まさか自ら捨てる馬鹿がいるとはな。」

「せいぜい、もう少し生きてみろよ。案外世の中マシかもしれねぇぞ」

そんな言葉に聞き入っていたら、

普段は傍観者の父が珍しく怒った様子で僕を引きずり下ろした。

ああ、死神のせいで死に損なったじゃないか。

その時僕はそう思った。

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