あの夏のつばめ

ありす

琴葉side

1話

やばいやばい遅刻や。

そう思いながら私はいつも見る景色と入道雲を背景にして走った。

メロスほどではないけど、太陽と同じ速度で走ったつもり。

でも、学校には間に合わなかった。

惜しかったんやけどなぁ〜。

先生には、

「仲村さんが遅刻すると先生が怒られるから、頑張って学校きてね。」

と言われたが、多分無理や。絶対遅刻する。

まじ申し訳ないとは思うが、無理なものは無理や。

だって、どれだけ早く寝ても、起きたら遅刻確定してるんやもん。

それと友達にも

「あと5分早く来たらいいだけやから、頑張れよ。」

と言われた。だからこの前、だいぶ早くに目が覚めたから、早めに学校来たら、

「今日、槍降るんちゃう?」

って真顔で言われたわ。しばいたろかって思った。

まぁ、それは置いといて、今日の放課後にみんなで、スタバの新作飲みに行くねん。

んで、楽しみやったから、怖い先生以外の授業はしっかりと寝てやったよ。

関係ないって?うん、関係ないよ。

ただ眠かっただけ、いい睡眠でした!

それで放課後スタバ行ってBeReal撮った。

もちろん新作もうまかった。

その後みんなでちょっと勉強して、解散した。

その時には、もうすっかり真っ暗やった。

帰る途中めっちゃ可愛いセーラー着た同い年くらいの子がおった。

踏切の前でうずくまってたから、

「大丈夫ですか?」

って声かけた。そしたら女の子が、

「大丈夫です。アゲハ蝶見てるだけです。」

って目を合わさず言った。その時、私はこの子絶対変わってるって思った。



この時はまだ仲良くなるとは思ってなかったけど、今思い返してみるとここから私たちの短くて長い夏が始まったんだなって思う。



次の日は、学校に遅刻しなかった。危なかったけど。

そして、いつも通りに過ごして、塾に行った。

その帰りにまた、あの子を見つけた。

変な子だなって思いながら、横を通り過ぎた。

すると、手を掴まれた。びっくりしすぎて、変な声が出たのはしょうがないと思う。

「ねぇ、あなたついてきて。」

そう言われた時、こいつまじ頭おかしいんかって思った。だから、

「なんで?」って聞いた。

そしたら「あなたのこと気に入ったから、いいもの見せてあげる。」って、私の拒否権なしに連れて行かれた。

もちろん嫌やわって暴れたけど、思った以上に力が強くて、逃げられなかった。

怖かったが、同い年くらいだし大丈夫だろうとも思っていた。

「あなた名前なんていうの?」

仲村琴葉なかむらことは。あんたは?」

よ。」

「じゃあ、私をどこに連れて行こうとしてんの?」

私はなんかムカつくから、わざと名前を間違えてやった。

そしたら彼女はこう言った。

「行ってからのお楽しみよ。それと私はじゃなくてよ。」

「え、あってんじゃん。」

「違うわ。」

「え、でしょ?」

「違うわ。。」

。」

「くどいわ!」

もちろんちゃんと怒られた。そんなやりとりをしているうちに、目的地に着いたらしい。

「着いたわ。」

そこには満天の星に照らし出された彼女の秘密基地があった。

「きれい。」思わずそう呟いた。

そうしたら、つばめは嬉しそうに

「そうでしょ!私のお気に入りの場所なの。」

と言った。

その時だけ私は彼女の笑顔に釘付けになった。


その後すぐに「好きな時に遊びにきていいわ。」

と言う、つばめの笑顔の圧に私は苦笑いを浮かべた。行かねーよ、ばーか。

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2025年12月25日 14:00
2025年12月26日 14:00
2025年12月27日 14:00

あの夏のつばめ ありす @Alice-15

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