世界にダンジョンが出現した、戦闘狂俺大歓喜

@catchme

第1話 be 探索者

再投稿です

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 暖かな春の日差しが寝起きの身体に染み渡る。

 うんと伸びをして、布団からはいでる。


「うし、行くか」


 左山さやま ゆう、21歳フリーター。俺は今日、働く。

 といっても、ただの職業じゃない。

 その名もダンジョン探索者。


 7年前、突如として各地にダンジョンが出現した。最も大きな被害を受けたのはアメリカのテキサス州、次に日本の神奈川県。

 どちらも政府が調査中のダンジョンから溢れ出したモンスターの群れによって、致命的被害を受けた。その影響もあってか、一時期全世界が外出を控えるように呼びかけたほどだ。


 しかし、そんな中でも、俺は外出した。

 なぜか、それはもちろん、戦うためだ。

 バトル漫画好きの全世界の漢なら分かってくれるはずだ。

 ───目の前に巨悪がいるのに戦わない理由はない。

 そんな思いで俺は外にいるモンスターに喧嘩を売っていったわけだ。そして気づいた。

 あれ、弱くね?と。

 普通に小学生でも倒せそうなくらい弱かったわけだ。で、それが世界に知らしめられ、あっという間にモンスターは間引かれたと。

 ただしダンジョンの中にはモンスターがいるわけで、ダンジョン内のモンスターを狩らないとまた惨劇が起こる。ってことで、探索者なる職業が6年ほど前に作られた。

 当時高校生だった俺は、探索者になる条件が20以上と聞いて絶望したのを覚えている。

 …今年から年齢が16歳に引き下げられたのを聞いて尚憤死した。


 そんな訳で、俺は探索者になるのを目標にフリーターをしていた訳だが、最近になってようやく両親の許可がおり、今日、探索者になろうというわけだ。


 いつものジャージに着替え、外に出る。

 うん、いい空気だ。


「おはよう」

「おはようございます!」


 道行く人達(主に高齢の方々)と挨拶を交わしながら、約2kmほど先にある探索者ギルドに徒歩で向かった。


 10分強ほどかかったが、ギルドに到着した。

 外観はただのビル。エントランスの自動ドアをくぐり、受付に行く。

 平日の朝なのもあり、待ち時間はゼロ。


「すみませーん!探索者登録しに来ました!」


 受付の女性が顔を上げる。年の頃は20代前半くらい、とっても事務的な営業スマイルだ。


「探索者登録ですね、はじめての方ですか?」


「はい、初めてですね」


「⋯かしこまりました。では、こちらの申請書に記入をお願いします」


 紙とペンを受け取りながら、俺はつい聞いてしまった。


「ところで、ダンジョンにはすぐ潜れるんですかね」


「え?あの⋯講習や訓練などがありますので──」


「え!訓練!?それって戦うやつですか!?いいですよね!早くしたいなぁ」


 言ってからハッとした。ついつい戦いへの思いが溢れ出てしまった。

 受付嬢が一瞬、引きつった笑みになった。


「⋯えっと、やる気があるのはいい事だと思います」


 多分嫌われた。


 ⋯少し泣く。

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