第2話
キィ…キィ…
突然、僕以外の音がしないこの空間に、音が響く。
金属の軋むなにかが擦れたような音。
どこから鳴っているのかも分からないその音に、なぜか懐かしさと温かさ、そして少しの痛みを憶えた。
なんだか嫌な感じがして、耳を塞ぐ。
頭の中にどこかのブランコが見えた気がした。
「はるくん!」
今度は近くで声がする。
はるくん、それは僕のことなのだろうか?
「おーい?」
だが明らかに話しかけてくるその声に、どこか恐る恐る目を開けて、耳を塞ぐのを辞めた。
そこに居たのは、記憶にある男の子″てっちゃん″そのものだった。
「え…てっちゃん?」
こちらからも話しかけてみると、どこかむくれた態度で返される。
「そうだよ!ずっと話しかけてたのに。」
なんだかその顔に安心感と面白さを憶えて、ふふふと少し笑ってみる。
そうすると、てっちゃんも笑ってくれた。
「ねぇ、遊ぼう?」
てっちゃんが手を伸ばす。
遊ぶ?ここに遊べる場所なんてあっただろうか。
「何変な顔してるの?行こうよ!僕たちの秘密基地に!」
知らないはずなのに、ワクワクする。
どこか懐かしくて、胸の奥が温まるような感情。
どこかの記憶が、顔を出したような気がした。
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