ubusu降臨

ubusu

第1話 (ウブス降臨…チープの眼前に) 

(言葉の概要) この作品を抵抗なく読む為に知っておいて欲しい言葉の概要                                       

 エンタングルメント:Aには対となるA*(と表記しよう)が存在して、Aがaという状態であると観察確定されると、必ず誤差なく同時に、A*はa*(と表記しよう)という状態であると観察確定されて、aとa*とは正反対の状態となっている、という現象。たとえば、Aが右回転していると分かると、A*は左回転していると分かる。Aが100円得したと分かると、A*は100円損したと分かる。Aが原子体であると分かると、A*は量子体であると分かる。

 原子体:物質体(見える 触れる)

 量子体:非物質体(見えない 触れない)

 ウブス(ubusu):ヒカリとコーの対の名称。ヒカリとコーとはエンタングルメント状態(但し、超高等生命なので、通常のエンタングルメントより状態数が多い。後述する。)

 大光:全宇宙の生殺与奪全権能を有する根本存在

 イターナルプラン:永遠の理想郷を実現する為の最終プラン

ビシルボ:シロ帝国の社会主義グループ


(ウブス降臨本文)

 眼前に居るはチープ。シロ帝国の度勘違い独裁者である。誰の目にも見えぬがチープと対峙するは、生殺与奪全権能を有する大光から一千年余に一度遣わされるウブス(正確にはウブスを構成する分身のひとつのコー)である。コーはウブスのもうひとつの分身ヒカリとはエンタングルメント状態である。今回は既に二十世紀半ば過ぎにこの日本に遣わされていた。(前回は十世紀を少々過ぎし同じ日本に遡るが、日本の神性成長に寄与すること大であった)。

 実は、シロ帝国のチープ、リコスーノ帝国のウヨジ、リメア帝国のプラト、イヤチ帝国のペキ達の神をも畏れぬ悪行が大光のイターナルプランにとって取り返しのつかぬ障害になることが、大光には二十世紀初頭頃から観じられていた。いかに寛大な大光でも許し難い、ルシファーによる歴史の私物化である。

 さて、コーはつい先程までは量子体であったが、今は突然原子体に変じて、チープに認識出来る姿になった。さすがの独裁者も驚愕して護衛官達を呼びつけて、コーを捕らえるよう命じた。刹那、コーは量子体に姿を戻して、チープや護衛官達の視界からは消えた。

狼狽えるチープの思念の中に、

 「貴方とシロ帝国の歴史を考えたい。護衛官達を去らせよ。」

と伝えると、チープはやはり恐怖に顔を歪めたが、さすが百戦錬磨の元スパイだ。訝しく感じながらも護衛官達に、

 「呼ぶまで隣室で待機せよ。」

と命じた。

 護衛官達が立ち去るとコーは再び原子体で姿を現して、

 「私はコーという者だ。チープ、貴方はビシルボより遙か以前のどの時代を理想とするのか。それとも正教会が己の心の中心にあるのか。まさか己が神から遣わされし大天使なり、との自覚があるのか。」

と煽ってみた。

 「私は西洋中心主義の貪欲資本主義が諸悪の根源であると、若き頃より確信している。心なき資本主義に神は存在しない。」

とチープは語気を強めた。コーもややトーンを硬くして、

 「では、貴方の心と貴方の独裁帝国に神は存在しているのか。人の命を使い捨てにする者に神は理解できない。」

と諌めた。

 コーが言い終わるや否や護衛官達が飛び込んできた。チープが密かに身に付けていた緊急発信機を作動していたのだ。(コーは有る能力*を使ってチープの緊急発信機の企みは始めから見抜いていた。…有る能力*=他心通 後述)


 

 







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