第12話
「いや〜、妹さんへの誕生日プレゼント、いいのが見つかって良かったな!」
「そうだな。礼司と橘先輩は騒いでいただけな気がするが…」
「そんなことないでしょ!…そんなことないよね?」
「あはは…」
ちなみに、凛への誕生日プレゼントは、色々悩んだが、先輩が最初に手に取ったあのリップにした。
「じゃ、またゴールデンウィーク明けに学校でな!」
「雪ちゃんバイバーイ!またね〜」
礼司と橘先輩は反対方向らしく、駅に着いたところで解散することになった。
駅のホームで電車を待っていると、だんだん不安になってきた。
「凛は喜んでくれるかなぁ…」
思わずそうつぶやいてしまうと、
「大丈夫!あんなに一生懸命選んでたんだからきっと喜んでくれるよ!」
と、先輩が励ましの言葉をかけてくれた。
「そうですよね。一緒に選んでくれてありがとうございます」
「力になれて良かったよ!また今度妹さんがどうだったか聞かせてね!」
「もちろんです」
そこでちょうど俺の最寄り駅に着いたようだ。
だが、俺は動かない。
「あれ?東堂君の最寄り駅ってここだよね?」
「えぇ、そうなんですが…さすがにこんな時間まで自分の都合に付き合ってもらって送っていかないのは失礼かなと……迷惑でしたか?」
「いや全然!ありがたいけど…東堂くんは大丈夫なの?」
「はい。親もいませんし、妹も遅くなると言っていたので」
「そうなの?それならお願いしようかな」
そこでちょうど発車ベルがなり、扉が閉まった。
「ここですか?」
「うん!」
なんと先輩の最寄り駅は俺の最寄り駅から1駅しか離れていなかった。
電車を降りて、改札を抜け、10分ほど歩いたところに先輩の家があった。
「ここだよ!」
先輩が立ち止まった家は、二階建ての立派な一戸建てだった。
「じゃあ俺はここで――「ちょっと待って!」え?」
「送ってもらったんだし、お茶くらい飲んでってよ!」
「え?でも…」
付き合ってもらった代わりなのに、と言おうとしたところで、体をグイッと押された。
なお、俺の体が全く動かなかったのはここだけの話である。
「いいから!ほら!歩いて!」
「いや、さすがに…」
玄関前でそんな押し問答をしていると、騒ぎを聞き付けたのか、玄関のドアがガチャッと開いた。
「どうしたの?雪―――」
玄関から出てきた、先輩と同じ亜麻色の髪の毛に、これまた先輩と同じの亜麻色の瞳の女性と目が合い、この場にいる全員の時が止まった。
いちばん早く復活したのは、以外にも先輩だった。
「お母さん!?あの、これは「あなたー!!雪が彼氏を連れてきたわよー!!」お母さん!?!?」
家の方に振り向き、大声で叫ぶ先輩の母親に、俺は早くも現実逃避を始めるのだった。
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