何で分かったんですか~
とある平凡な中学校、その中学はいたって平和だったのだが、これから起こる一件のせいで、様々な変化が生じてしまう。その主な被害者は、周りの生徒と比べて慎重の小さい男子生徒である有村翔だった。
事の発端は池位東中学の生徒が、とある同じ中学の女子生徒に嫌がらせをしようとしているところを彼が助けたことが理由だった。
自分たちの行っている嫌がらせを妨害されたことに腹が立った池位東の一部生徒が、彼の通う”池位中央中学校”の生徒に密告し、いじめるようお願いしたそう。それがきっかけで有村は一時学校に通うことを辞めたそう。
彼の心にはダメージがあったのだろう、当時は死ぬくらいつらい気持ちがあっただろうし、彼自身も受験シーズンであったのだが、それでも学校から距離を置くという判断ができたのは今では英断と言えたのだろう。
――――――――――
…またあの時の夢を見てしまった。
俺の名前は有村翔、昨日は影山と久しぶりに会って話していたのだが、あの時から本当にあの時の夢ばかりを見てしまう。
…中学の時の一件だ。
そういえばあそこで人助けをした時からいじめられるようになったのかな。椅子無くされたり…教科書に落書きされたり…なんかデマ流されたり…よう耐えきったわ。
その時の女子生徒ってかなり大きかったような…池位東と同じ制服だったし、中学生なのは頷けるのだが、それでも中学生離れしているのは確かだった。
「…いや、考えるだけ面倒だ。影山と久しぶりに話せれたのは大分嬉しかったし…何だったら連絡先交換したし」
絹川とはしてないのかって?
絹川と連絡先を交換できる時間がないしな~、大体授業後に交換すると考えよう。絹川はバレー部に所属しているだろうから、時間が無いはず。
…まあいいや、学校行っちゃお
――――――――――
学校に到着した俺は、今日も一人で掃除をしていた。さすがに始業45分前には誰も来てはいないので、誰の目を気にすることもなく掃除ができるという訳だ。さて、こんな誰もいない空間で何も起きないわけがなく…
「…絹川?いるんだったら出てこい」
「何で分かったんですか~」
ちょっと不満げな表情で俺のクラスに入る。
てかナチュラルに不法侵入しとるんとちゃうんよ。
「せんぱいは今日も小さいですね~」
「うるさいな、本当に」
「あ、小さいで思い出したんですけど…私が中学生の時に、同じクラスの人にいたずらされて困ってたところを小さな子が助けてくれたんですよね~、小学生かな?って思ったんですけども、どこかせんぱいみたいな感じもあるんですよね…いや、せんぱいはそんなに勇敢じゃないのかも」
「誰がチキンじゃ」
たく…今日も絹川は絹川だな。
てか絹川の身長だったらいたずらされることもないんじゃないか?
なんて思った今日この頃だった。
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