ゲーセンでも修羅場
さて皆さんどうも、毎度おなじみの有村翔です。今俺は何故か…
「せんぱ~い、がんばれ!がんばれ!」
「ぐぬぬぬ…」
「早くしないと~…景品が取れませんよ?」
「うっるさいな…」
絹川とゲームセンターに来ていた。
ゲームセンターに来るなんていつぶりなのだろうか、中学生の時以来か?あの時はゲームセンターで何万も使ってたバカみたいな時期があったな~、今考えれば自分に投資した方が絶対楽しいだろうに。
今俺はウサギのぬいぐるみに挑戦している。
これ…絶対取れないだろっていうくらいのバランスに配置されているからか、なかなか取れない。まあ確率機なんてものもあるくらいだからな…っていうかクレーンゲームでそう簡単に取れてしまったら採算合わないだろうし。
「私ぃ~、せんぱいが取ってくれること、信じてるんですよ~?」
「…今集中してるから!」
絹川の喋る声のせいで全く集中できていないのが現状だ。あともう少しでようやく取れそうな位置にまでたどり着いたというのに、集中を途切れさせでもしたら一瞬で台無しになってしまうだろう。そして使用金額を千円以内に抑えることができているのも幸いと言ったところだろう。
そして百円を投入する。あともう少しと言ったところで緊張してきた。クレーンゲームでこんなに緊張するのは初めてかもしれない、多分。
アームが急降下し、景品をつかむ。そしてそのまま景品を離さず出口まで持っていき、見事に景品を獲得することができた。
「…よし!」
「せんぱ~い、流石ですね~」
「まぁな」
何だかあまり尊敬されていないような気もするが、まあいい、取りあえず景品を持ったままゲーセンで遊び続けようかな。
そして俺らは心行くまでゲーセンで遊び続けた。意外にも絹川がパンチングマシーンで高い数値を出したもんだからビビってしまった。やはり高身長が影響しているのだろうか…。
「ふぅ~、アイスありがとうございます」
「…勝負に負けちまったからな」
俺はあの後、絹川にバスケットボールゲームでの勝負を提案されたのだが、普通に絹川に勝負に負けてしまって、アイスを奢るという所に至っていた。うん、後輩に負けるって…先輩とは言えないな。
「…あ、せんぱい。アイス持ってもらえますか?トイレに行きたいので」
「分かった、ここで待ってる」
俺は絹川のアイスと荷物を持つことになった。
「あ…私のアイス、食べないでくださいね?」
「誰が食べるかぁ!」
彼女はそう言うとそそくさとトイレに向かって行った。
それにしても、まさかソーダ味のアイスがあるなんて…アイスってチョコとかバニラとかしかないと思ってたんだが、最近はいろんなアイスもあるもんだな。
そう思っていると、絹川が戻ってくる最中にナンパに絡まれている様子が見えた。まあ絹川って黙ってりゃ美少女だからなぁ…いや、高身長だから美女になるのかな?分からんけど。
ほらほら、明らかに絹川が困ってるだろ?やめた方がいいと思うけどな~。高身長だぜ?彼女…バレー部だぜ?やめた方がいいと思うけどな~…いや、俺が止めに入った方が早いか。
突然そう思えたので、俺はナンパの現場まで近寄り、ナンパ野郎の後ろまで近づいた。
「おい、俺の後輩に何してやがる」
「…あ?」
うん、ナンパ野郎も身長でかいんだけど…
俺の身長は何度も言うが153.9cmだ。ナンパ野郎も絹川ほどとまではいかなさそうだが、それでも俺よりも身長が高いことは分かった。
「うるさいなチビ、中坊は黙って金でも溶かしてろ」
俺はなんて好き放題言われてるんだと思いながら受け流す。気にしない方が得策だからな。うん、俺はいいと思うんだけど…絹川はどうしてそんな険しい顔するん?俺がするんだったら分かるけど、絹川がするのおかしくない?絹川だって俺の低身長っぷりを馬鹿にしてるからね?
なんて思っていると、絹川がナンパ野郎に対してビンタし始めた。
ナンパ野郎はこのことを想定出来てなかったらしく、ぽかんとした顔で絹川を見つめる。すると絹川は
「…そんな汚い顔でこっち見ないでください、不愉快です」
と言い放った。
するとナンパ野郎は無様な感じで「く、くそ!何なんだよこいつら!」と言い放ってどこかへ走り去ってしまった。ゲーセン内で走り回ったら危なくないか?
そして絹川はお¥ナンパ野郎が去ったことを確認すると、こちらを振り返って
「…せんぱい、かっこよかったですよ!」
と一言言った。
…あ、荷物返すの忘れそうになっちゃったわ。
こうして俺らはゲーセンで遊びつくしたのだが、ゲームというゲームはほぼ絹川が勝ってしまった。先輩の面目が立たないぜ、マジ。
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