ただ長身女子とラブコメするだけ

そーた

長身女子

明るい街の景色の中、一際目立つ校舎…学校が存在する。その学校はとてつもない進学校で、生徒一人一人に対するカリキュラムを独自に組み込んでくれることで有名な学校だった。そんな学校の名前は『桜ケ丘学園』だ。そしてその学校に通う俺の名は有村ありむらしょう、ただのありふれた学生に近い何かを持っている青年だ。現在夏休みが終わって、二学期初日を終わらせてきたところだ。


「久しぶりだな翔~」

「お前か


俺に話しかけて来たこいつはクラスメイトの高橋たかはし琉斗りゅうとだ。よく話してくるのだが、俺自身仲良くなるつもりなんか毛頭ない。そもそもここは進学校なんだ。勉強してなきゃまずいし、こういう時間に知識を詰め込まなきゃ…勉強がギリギリになってしまう。


「何だよ冷たいな~」

「うん、クラスメイトだし」

「俺の扱い酷くない?一応毎日話しかけてるんだけど」

「ここは進学校だぞ、勉強しなきゃまずいだろ」

「友人関係も大事にした方がいいと思うけどな」


それは正論である。

だがこの有村翔、勉強しなきゃいけない理由がある。それはだな…大学に行ってキャンパスライフを楽しむためだ。大学生って大体変な感じなテンションで過ごして、毎日合コンで酒飲みまくって女持ち帰ってるんだろ?(作者の偏見)


「まあいいや、お前って毎回学年一位だもんな~」

「勉強すりゃできる」

「うっわ、やっぱ学年一位の言うことは違うな~」

「努力次第で何とかなるわ」

「冷たいのなんの、お前って絶対今までつまらない人生送ってきただろうなw」

「クラスメイト間だとしても行ってもいいことと悪いことあると思うんだけど」


まあ一部否定できないところはあるのだが…それは今切り出す話題ではない。

そう思っているといつの間にかみんな帰宅し始めていた。そして琉斗も帰りだし始め、気付いたら教室に一人きりになってしまった。でこの状況は慣れている。俺は教科書とノートを広げて自習をし始めた。時計の針だけがうるさくこだまする中、俺は勉強を進める。

すると、急に目の前に影ができ始めた。


「せんぱ~い、今日も自習ですか~?」

「…悪いか?」

「いえ?あまりにも真面目だなって思いまして」

「…絹川も勉強してるか?」

「全然?私は前日に勉強するタイプですから!」

「ちゃんとコツコツ勉強しとけ、復習でもいいから」


絹川というのは、今年からこの高校に入学してきた俺の後輩だ。フルネームだと絹川きぬかわ愛華あいか…だそう。先ほど影が見えたのは、彼女の特徴的な身長のせいだろう、圧倒的な高身長だ。俺の身長が153.9cmなのに対し、絹川は175.6cmだ、一年小さい癖に…どこで差がついてしまってんだろうか。あ、ちなみに俺の身長が小さすぎるのは病気でも何でもないのだそうだ。ある意味の異常だろうけど。検索したんだけどさ…俺の身長って女子中学生の一年生の平均身長とピッタシらしかった…泣いてもいい?


「先輩は厳しいですよ~、私は部活があるから大変なんですよ?」

「バレー部はほかの運動部より休み多いはずだろ」

「それでもなんですよ~」

「はぁ…呆れた」


俺はこの後輩に呆れる日々を、ずっと続けているのだ。

だがこの時の俺は知る由もなかったのだ。彼女が俺にしつこく関わってくる理由を…。多分勉強教えて欲しいとかだろうけど。

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