第3話


 亡霊が喚いておる。

 

 ――おおお、おおお。

 ――おおお、おおお――。

 ――おおお――おおお――。

 

 五月蠅い。

 五月蠅い。

 

 ゆらゆら、ゆらゆら。

 

 ――おおお、おおお……。

 

 ゆらゆら、ゆらゆら――。

 

 ――おおお、おおお……。

 

 吾に喚いても何にもならぬぞ。

 死しても尚そうして五月蠅く喚くか。

 

 ゆらゆら、ゆらゆら――。

 

 ――おおお、おおお。

 

 ゆらゆら、ゆらゆら――。

 

 ――おおお、おおお――。

 

 ああ。

 五月蠅い五月蠅い。

 五月蠅い五月蠅い。

 悲しかろう苦しかろうが、吾の知ったことではない。

 何を望んでいるというのか、吾の周りをぐるぐるぐるぐると渦巻いておる。

 五月蠅い五月蠅い。

 五月蠅い五月蠅い。

 

 ゆらゆら、ゆらゆら――。

 ゆらゆら、ゆらゆら――。

 

 ――おおお、おおお。

 ――おおお、おおお。

 

 ぐるぐる、ぐるぐる。

 ぐるぐる、ぐるぐる……。

 

 

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