第2花 幼馴染のあいつ

「うわぁ!なんであんたがここにいんのよ!」

驚きと疑問の彩芽。


「だっていつもこの時間になったらあやちゃん告白されてるでしょ?それに今日はあやちゃんにとっても記念すべき日だし!」

サラサラの黒髪にくりっとした目をした勇太は満面の笑みでそう答えた。


「記念すべき日って何がよ」

何のことがわからない彩芽に勇太はまた笑顔でこう答えた。

「だって今日はあやちゃんがこの学校に入ってから告白されて断った人数がついに100人になった日だよ!」

そう、彩芽はこの高校に入ってから100回以上下痢をしていた。


「そんなもん数えんな!バカ!」

思わずゲンコツを食わせる彩芽。


「きゃははは!その数だけトイレに行ったってこと?それを数えてるのも面白すぎなんですけど!」

手を叩いて笑う楓。

「笑ってんじゃないわよ!」

「トイレ?そんなにトイレ行ってるの?あやちゃん。。。」

心配そうな勇太。

「行ってないわよ!もうこの話終わり!」

勇太に悟られまいと話を打ち切る彩芽。


「あと、そのあやちゃんと言うのやめて。もう子供じゃないんだから」


「なんで?あやちゃんはあやちゃんだよ?」

何がダメなのかわかっていない勇太。


「どうしたんだー勇太、こんな女子トイレの前で誰と話してんだー?って、櫻井さんと英さん!?」

そこに勇太のクラスメイトが話しかけてきた。

「そうか、お前この2人と幼馴染だったっけ?羨ましいわー」

「何の話してたんすかー?もしかして3人で女子トイレに。。。?」

疑惑の顔で話すクラスメイト。


「なわけあるか!!!」

思わずツッコんでしまった彩芽。

「あっ」

何かを察した楓。


「あっ、うっ、、、」

便意が来た。

「ちょ、ちょっとお花を摘んできますわ。

あははは、、、」

ダッシュでトイレに駆け込む彩芽。


「え?あやちゃんそんなにトイレ我慢してたの?言ってくれれば良かったのに、、、」

心配そうな勇太。


「お花を摘んで来ますって、そんな言葉使う人初めて見たっすわ。しかも櫻井さんもトイレするんすね」

突然のことに訳のわからないことを言うクラスメイト。


「きゃははは!するでしょそりゃあ。彩芽も意味わかないし面白すぎなんですけど!まー大丈夫よ彩芽は。待つのも変だしとりあえず教室戻ろー」

終始楽しそうな楓。

そのまま勇太たちは教室に戻っていった。


一方その頃女子トイレに籠っている彩芽はと言うと、

「うあぁぁぁ、お腹痛いーしんどいー!もうなんであそこで来るかなー?やめてよもう。。。てかなんなよ勇太の友達は。図々しすぎでしょ。てかそもそも勇太が来なければこんなことにはなってないのにーーーー」

腹痛に耐えながら勇太を恨んでいた。


彩芽は勇太以外の男子とは話せないがゆえに小学生から今に至るまでクラスでまともに話したことのある男子はいない。一度話してしまえば便意が来る。便意を我慢することはできるがもし我慢できなかった場合が恐ろしく、我慢することが出来なかった。

また、彩芽はその美貌と振る舞いゆえに雑な言葉を使わないようにしていた。

そのため、便意を催したときは幼少期にテレビで覚えた「お花を摘んで来ます」を使うようにしていた。

そんなこんなでなんとか周りにはバレないように生活を送っているのである。


時は昼休みが終わり無事に午後の授業に参加する彩芽。だが彩芽にとって鬼門となるあるイベントが今から始まるのである。

そう、夏の体育祭の出場種目決めである。

なぜ鬼門かというと、彩芽はクラス委員長を務めているため前に立って司会をしなければならないのである。そこでは必ず男子と会話をするという便意イベントが必ず発生する。

しかしそんなことは小学、中学と同様に経験してきた彩芽にはある秘策があった。



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お花を摘みに行ってきますわ ガラムマサラ @gerip

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