第二十五章

 天井の模様を眺めていた。

 人生で初めてセックスをした。春樹は良い匂いがした。お風呂に入ってないはずなのに春樹の肌からは春樹の匂いと石鹸の香りがした。春樹の匂いは人の匂いというよりはほぼ無臭だが甘い香りがする。上に春樹が乗っている。抱きしめるような恰好でセックスしている。おしりに春樹のが入っている。初めての感覚だったがめちゃくちゃ気持ちいい。意識が飛びそうで枕を掴んで快感を逃そうとした。

 「可愛い、竜胆こっちきて」

 そう言って春樹は竜胆の唇にキスした。

 「キス好きになった?」

 「ああ……」

 そう言うと春樹は頭を撫でた。女みたいな扱いして。



 「あれがセックスか……」

 放心した竜胆はベッドの上で裸になりながら腕を広げていた。イッたのに射精しなかった。ずっと気持ちいいのが続いてあれが女のイキかたなのかと思った。下では春樹がフェラしている。こいつこんなにエロかったのかと思った。

 「今度は俺がやる」

 「竜胆にできるかな」

 「やってみる」

 「そこ濡れないからローション使ってね」

 そう言ってペペローションで春樹と俺のものを塗った。思ったよりすんなり入った。ただめっちゃきつかった。でも、気持ちいい。

 「激しくしていいよ。気持ち良くなっているから」

 「わかった」

 ここでも気持ち良くなると緩くなるんだって初めて知った。

 最初はゆっくり動いたが次第に激しくした。そしたら春樹は短く嬌声を上げる。それがエロくてもっと激しくなっていく。

 「春樹、好きだ」

 そう言って竜胆はキスをした。

 「童貞卒業おめでとう」

 「お前は処女じゃないのか」

 「うん、ぼくゲイだから」

 「そうなのか、他に誰とやったんだよ」

 「うーん、最初誰だっけ」

 「どういうことだよ」

 「マチアプで3Pしてたから」

 「はぁ!?」

 なんかショックだった。好きになってしまった相手が3Pしていたって知るとなんかショックだ。

 「竜胆はどうなの? 童貞だったの」

 「ご期待通りにな」

 「じゃあ、僕が初めてなんだ。へぇ」

 悪戯好きそうな悪魔のように笑みを浮かべた。

 「そんな余裕でいいのかよ。セックスしながらおしゃべりしてんじゃねー」

 そう言って竜胆は激しく突く。

 「ああ! 気持ちいい!」

 嬉しそうに喘ぐ春樹に今から時を遡ることができたら春樹の初めてを奪いたいと思った。それが出来ないなら俺が上書きしたいと思った。



 「はぁ、楽しかった。初めてだよセフレじゃない人とセックスしたの。竜胆、僕ね恋愛したの初めてなんだ」

 そう言って毛布にくるまれながら恥ずかしそうに春樹が言う。

 「そうなのか」

 「うん、オジ様たちとデートは何度もしたことあるけど恋愛は初めて。だから嬉しいんだ。これからもよろしくね、竜胆」

 「ああ」

 そう言って竜胆は春樹にキスをした。

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