愛すべき華の行く先は

白雲

第0話 ハーデンベルギアの呼ぶ出会い

一輪、一輪と飾って行く。

「母さん、ここはポインセチアを飾ろうよ。」

一人の男子高校生が親へと問いかける。

彼の名前は坂本彼岸(さかもとひがん)、男子高校生でありながら若くしてフラワーデザイナーの資格を取得している。

世間からは《華の魔術師》として称賛されているが本人は自分のことをまだ駆け出しであると語っている。

そんな彼の問いかけに対して彼の母は、

「ポインセチアでも良いけどカスミソウやアルストロメリアでも良いと思うわよ?」

と別の花を飾ることを勧める。

彼女は坂本彼岸の母でありフラワーデザイナーの巨匠、坂本向日葵(さかもとひまわり)だ。

二人は悩んだ末に一つの答えにたどり着く。

「「全部飾るのはどうだろう!」」

まさに親子といわんばかりの意見の一致、二人を手伝っていた他のデザイナーたちはそう感じただろう。

そうこうしているうちに美しいポインセチア、カスミソウ、アルストロメリアが並んだ。

この装飾を見た向日葵の秘書は、

「とても綺麗、これなら新郎新婦もとても喜んでくれそうですね!」

と二人のデザインを称賛した。

彼岸はどこかで自分だけのデザインを称賛されたいと感じることもあったが仕事を続行、二人の力で飾られた結婚式場は美しいフラワーロードを作り、結婚を祝福した。

仕事が大成功で終わり家に帰ると一人の女子高生が店の前に立っていた。

「あの!《華の魔術師》と呼ばれる彼岸君だよね?」

それは彼岸と同い年の風本花凜(かざもとかりん)だった。

「そうだけど、もしかして仕事の依頼?」

彼岸が問いかけると、

「うん、あなたのデザイナーとしての力を私に貸して!」

この二人の出会い、そしてこの依頼が坂本彼岸のデザイナーとしての人生を大きく変えることになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る