最底辺な俺だけの地下システム
@Ryotei_kanimiso
第1話 学園都市
佐伯広正は飛行機に乗っていた。
向かっているのは学園都市スターリーがある島だ。
数ヶ月前、俺の元にある手紙が送られてきた。それは学園都市スターリーからの入学許可を知らせる手紙であった。どうやら全国の中学3年生に対してランダムに送られているらしい。入学は強制するものではなく、あくまで任意であった。とういうのも学園都市に行くにあたっての注意事項があった。
1つ、学園都市では外部との連絡を一切禁ずる
2つ、学園都市からは入学してから卒業するまでは島から出ることはできない
3つ、学園都市での制度によって生徒が被る被害
に関して学園都市運営は一切責任を負わない
だいたいこのようなことが書かれていた。俺はこの手紙が送られてきた時には特に志望している学校もなければ特にやりたいこともなかった。だから学園都市に行くことに対してなんの抵抗もなかった。
ようやく島が見えてきた。島と言ってもいわゆる無人島のような小さな島ではなく、ひとつの国のような大きさの島だった。飛行機の窓から外を眺めていると隣に座っているいかにも陽キャのようなやつが話しかけてきた。
「君はなんで学園都市に来ようと思ったの?」
「特に理由はないかな。逆にそっちはなにか理由があるのか?」
「それはもちろん!手紙に書いてあっただろ?学園都市を優秀な成績を収めて卒業すると将来は確実に安泰だぞ!」
ああ、学園都市はいろんな大手企業からの支援も受けているから優秀な成績で卒業すると学園都市側から推薦してもらえると言うやつか。
「そんなことも書かれてたな。俺は特にやりたいこともないから来ただけだ。」
そんなことを話しているうちに学園都市に着いた。俺らはこれからそれぞれの学園に向かうらしい。学園都市には8つの学園がある。シリウス学園、カペラ学園、プロキオン学園、アルタイル学園、スピカ学園、アンタレス学園、アクルックス学園、レグルス学園だ。俺が行くのはプロキオン学園。学園同士で格差は特にないらしく、やろうと思えば転校もできるらしい。だが、シリウス学園、あそこだけは違うらしい。詳細はわからないが、なんとも限られた生徒だけが入学を許されるのだとか。まぁ俺はその限られた生徒ではないのだから関係ないが。
学園まで歩いていると空を飛んでいる生徒がいた。制服を着ているから恐らくこの学園の生徒なのだろう。これから入学する俺たちはまだ制服を着ていないから上級生か。するとそいつが降りてきて、
「あれ?1年しかいない?」
困惑しているところに教師が来た。
「おい、今日は新入生以外は休みだぞ。」
「まじですか。」
「ほら、さっさと帰れ。」
「はーい。」
そう言ってそいつは空を飛んで行った。
俺たちが呆然と立ち尽くしていると、
「ほら、お前たちも立ち止まってないで早く中に入れ。」
教師のその声で俺たちはまた足を動かし始めた。
「~であるからして、この学園では~」
学園長の話なんて微塵も興味ないから早く終わって欲しいのだが、それでも寝るわけにはいかない、それは朝の空を飛んでいる生徒についていち早く情報を得たかったからだ。なぜ空を飛んでいたんだ?ここじゃあれが普通なのか?そんなことを考えていると、
「ここからは私が話そう、学園長の話はどうでもいいが私の話はちゃんと聞いた方がいい。」
いつの間にか学園長の話は終わっていたようだ。
「今からこの学園、もといこと学園都市について説明しよう。お前らが朝見た空を飛んでいる生徒、あれを見て驚いただろうが、ここでは普通のことだ。火を出すやつもいれば雷を出すやつもいる、簡単に言えば特殊な能力を手に入れられる。お前らもあとでそうなる。そしてもう1つ大事な要素がある。それはポイントだ。このポイントはここでの通貨でもあるし、持ち主のランクを表す指標でもある。ポイントを得る方法は様々だ。テストで上位に入れば大量に獲得できる。他の生徒に勝負を挑んで勝利しても貰える。まぁ色んな方法で手に入れることが出来る、私も全ては把握していない。まぁこんなところだ。次にお前らのこの後の行動だが、筆記テスト、それに体力テストを受けてもらう。この数値は1人1つ渡されるこの端末に記録される。この端末にはお前らのステータスが常時確認できる、これは他人に見られることはない。そしてこれが渡された瞬間に能力が確定する。楽しみにしておくことだ。これで私の話は終わりだ。」
みんなその急な話に困惑していた。俺たちは完全実力主義のところに投げ込まれたのだ。
疲れた。
朝の飛行機で来て、入学式で終わりかと思いきやそこから体力テストやら筆記テストやらで6時間もぶっ通しで色々やらされた。そして俺らはまた入学式をした場所に集められている。
「今日は1日お疲れ様。今全員に携帯端末を配った。そこに表示されているのが一人一人のステータス、能力、所持ポイント、ランクだ。この学園ではランクによってAからEクラスまで振り分ける。細かい説明は後日するが、自分のクラスはその端末に表示されているから明日はそのクラスに来るように。最後に家についてだが、端末に住所が書いてある、荷物もそこに配送済みだ。それでは今日はお疲れ様、気をつけて帰るように。」
端末が渡されてから反応は人それぞれだった。歓喜する者、絶望する者、そして俺は、
佐伯広正 15歳 男性
ランクF
筋力 18
防御 15
俊敏 20
体力 10
知力 40
魔力 0
能力 鑑定 熟練度1
絶望側だ。基本的にフィジカル系の能力が使いやすいだろう、それに対して俺の能力は鑑定。人の能力やステータスがわかっても俺のクソ雑魚ステータスじゃあ役に立たない。鍛えたところで他の能力のやつには勝てないだろう。せっかくここに来たのならいい生活を送りたい、だがランクFでは底辺もいいところだ。とりあえず家に帰ろう。
遠い。もう1時間近く歩いている。ランクFだとこんな場所に飛ばされるのか。
ここか、見た目は安いアパートみたいな感じだな。しかも俺以外は人が居ないみたいだ。中も普通の一人暮らしのアパートの一室って感じだ。
部屋を捜索してみたが、特におくしいところはない、強いていえば家具が何もないから今日は床で寝るということくらいだ。とりあえず今日は疲れたからもう寝よう。能力を試したりするのは明日にしよう。
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