雨の日の始まり
ささみ
第1話
肌寒い朝、自然と目が覚めると雨音が聞こえた。
忙しない日々から少しだけ解放されたからかすごく雨音がはっきりとポツポツと音を立てているのがわかる。
いつもならすぐにスマートフォンに手を伸ばし時刻を確認して顔を洗ってと、なにも考えずオートマチックに体が動き始めるが、今日はなんだか雨音を聞いていたい気分だった。
薄暗い部屋の中、ベッドの上で仰向けになり天井をみているかみてないか曖昧な状態で視界をぼんやりとさせ、ただ音を聞く。
何の意味があるのかと問われれば何の意味もないと答える。ただ、こんなゆっくりと流れる時間が久しぶりで感覚が次第にはっきりとしていくのを待っている。
アラームで無理矢理起こされるわけでもなく、朝起きて時間に追われるのでもない。
いまぼくは、時間の中を泳いでいるような気分。水中から太陽の日差しが揺れるのを眺めるのと似たような感じで、なんだかこんな時間がずっと続けばいいのにと思えてしまうほど心は穏やかだった。
ようやく体を起こし、伸ばして、首を軽く回し、ほんの少しだけ座った状態でボーッとしてスマートフォンを手にとって時間を確認した。
まだ六時過ぎ。
一日は始まったばかりだ。
雨の日の始まり ささみ @experiments1998
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