わたしのドワーフの斧

森生藤

第1話 誕生日

「かな子、おじいちゃんからプレゼント届いてるよ」


16歳の誕生日の朝。私の元に祖父から包みが届いた。

ダイニングテーブルでワクワクしながら包みを開けると──。


「……斧」


中身は片手用のバトルアクス。職人が作った一級品の業物。


「……斧、かぁ」


私は机に項垂れた。

「ママも昔もらったわよ。ドワーフは16歳になったら成人の証として斧を持つんだってさ」


出勤準備のメイクをしながらお母さんがボヤく。

「困るのよね。年頃の子に斧持たせていい時代じゃ無いの、おじいちゃんも知ってるはずなのに」


アウトドア用でもない、戦闘用の斧。

どうしたものか。リアクションに困る。


「あ。一応、今度の休みに施設行ってお礼言ってきなさいよ。あの人、そういうのうるさいから。あとトースト焼いてあるから食べて。それじゃ、先行くから。出るとき戸締り忘れずにね」


斧を持ったままお母さんを見送る。


「どうせもらうならiPadがよかったなぁ……」

私は深いため息をついた。

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