三節 害雷

―ある國の王 弐―

『昔々、ある國に一人の賢い王がいました。


 その國は歴史の浅い國でした。

 それでも、その國は長い飢饉を乗り越え、着実に発展しておりました。


 そんな折、賢王と謳われたその王は、とあることで頭を悩ませておりました。


 王は宰相に相談します。


「この國を他國同様、のある國に発展させたい」

 

 博識で名高いその宰相は、深くしわの刻まれた口を開き、進言しました。


「敬愛する我が君よ。それならば【言霊ことだま】をお探しになってはいかがでしょうか」


 初めて聞く固有名詞に、王は首を傾げます。


 宰相は静かに続けました。


いわく、それは【力】のあかしであると。いわく、それは文明の【いしずえ】であると」


 それは、隣国に言い伝わる真偽不明の逸話。


 【開拓する力】を宿す【形無き生命いのち】があると――。

 

 王は訝しく思いながらも、宰相の言葉に頷きました。



 

 王は民に告げました。王は家来に命じました。


「探しなさい。そのたましいを。そして、その宿り木となる【しろ】を」』

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