ロマンチックではない休日
昼月キオリ
ロマンチックではない休日
〜登場人物〜
丈治(じょうじ)(23)
特徴のない青年
友人A(23)
友人B(23)
暗(あん)(26)
話を聞いてくれる優しい幽霊
今巷で話題になっているロマンチックな休日。
ロマンチックな休日とは恋人と情熱的なデートをしようという日のこと。
まぁよくある映画に感化された話だ。
そんなある日、僕の家に見知らぬ女が現れた。
長いウェーブがかった黒髪。前髪の隙間から薄らと目が見える。目の下にクマがある。
最初、声を掛けても外に出て行かなかった為、肩を掴んで外に出そうとしたがその手はすり抜けてしまった。
そう、彼女は幽霊なのだ。
名前を聞いたら悲しそうな顔で暗と答えた。
暗の名前の由来はこの子に未来はないという意味から親に付けられた名前なのだそう。
愛のない結婚の末、望まぬ形で産まれてきたと言う。
いくらなんでも酷過ぎる・・・。
だから僕はカタカタでアンちゃんと呼ぶことにした。
文字にしなければ変化は分からないだろうけど気持ちの問題だと伝えた。
アン「自分の方が歳上だからちゃんと呼ばせるのは申し訳ないわ」
丈治「僕がそう呼びたくて言っただけだから、嫌だったらさんにするけど」
アンちゃんは首をぐりんぐりん横に振り、ありがとうと言うと口元を緩ませた。
どうやらアンちゃんと呼ばれることが嬉しいらしい。
布団に突っ伏して悩みを話している時、アンちゃんが頭を撫でてくれた。
感触はないはずなのにふんわりと優しい温かみを感じた。
最近気付いたけどアンちゃんには癒し効果がある。
男が癒しと言うとエッチなイメージが多い気がしていたけど、
そうか。こういう癒され方もあるんだな。
次の休みの日も、そのまた次も。
アンちゃんは僕の前に現れた。
友人A「俺彼女できてさぁ、告白する時薔薇の花束渡しちゃった!」
友人B「ひゅー!ロマンチック〜!」
丈治「おめでとう」
友人A「サンキュー!」
友人B「俺も早く彼女作ってロマンチックな休日にしたいわぁ」
友人A「そういや、丈治最近表情柔らかくなったよな?」
友人B「あー確かに!楽しそうってゆーか・・・
まさか彼女できたのか!?」
丈治「いや、いないよ」
友人B「本当かー?なら可愛い子とロマンチックな休日過ごしてんじゃないだろうな?」
丈治「ロマンチックではないけど良い休日を過ごしてるよ」
友人B「あー!濁しやがったなー?」
友人A「何が良い休日なんだよー!」
丈治「内緒」
言えるもんか。
休日になると幽霊が現れて悩みを聞いてくれるなんてさ。
ロマンチックではない休日 昼月キオリ @bluepiece221b
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