火曜日

●●ちゃんは今日一人で帰るらしい。いつもならあまり気にしないが、昨日のブスの声が脳内で再生される。聞きたかったのは●●ちゃんの声だが、今回ばかりは少し助かった。●●ちゃんが1人では不審者に襲われてしまう。そう思い立って一緒に帰ることにした。

●●ちゃんがいつも降りる駅で僕も降りる。気づけばもう●●ちゃんの家らしきとこに着きかけていた。

僕は勇気を出してようやく震えた声で話しかけた。驚いて振り返る●●ちゃん。きっと不審者におびえていたんだろう。ギュッとハグをする。安心していいんだよ。驚いて何も言えなくなった●●ちゃんの力がどんどん抜けていくのを支えながら口と口を合わせる。暖かい。そして●●ちゃんの匂いがする。気持ちいい。ドクドクと脈打つ僕。何かが溢れそうになり●●ちゃんをさらに抱きしめ、擦り付ける。

僕は●●ちゃんと同じ学校ですらないし電車でしか会えなが今●●ちゃんは僕のことしか見えていない、僕以外を考えていない。今ここには僕と君だけが交わって溶けていく。

この白濁した関係がまだ僕を通じて●●ちゃんにも伝わるぐこの菌糸が絡まって広がるような感覚を僕は  ————    と呼ぶことにした。

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