私が架けた虹の橋

北畠義顕

第1話 私の人生もう終わり?

桜が満開で綺麗なのに…。


新学期・新生活が始まる季節なのに…。


17歳の春なのに…


空は雲ひとつなく青く澄み渡っている。


なのに私の心はどんより曇ってひどく荒れている。




 どうしたらいい?……どうしようもない。


 どうすればいい?……どうにもできない。




 誰か助けてください!……誰も助けてはくれない。

神様!いるなら助けてください。どうして私がこんな目に合うのですか?

嫌だ!嫌だ!嫌だ!どうして私が。


生きたい……。


私はたった今余命宣告された。約1年…それが私に残された時間。

 取り乱して取り乱している母と必死に感情を抑え母を受け止めている父を前に


 私は平静を装うのが精一杯だった。


 泣きたかった。感情を露わにしたかった。


 反面お医者様に感情をぶつけても病気は治らないし、ましてや父と母を困らせたくなかった。

 色んな感情が私の中で渦巻いて混ざり合って分裂して混沌として…。


 夢であってほしい。夢なら早く覚めて。


 わかってるよ。現実だよ。これは。本当に逃れようのないね……。


 私達親子三人は帰宅後しばらくは無言だった。何を話せばいいのか?

 そもそも話したいのか話したくないのか?それさえもわからない。

 両親の愛情のみが私の感情の唯一の救いだった。

 夕方には誰からとなく少しずつ会話するようになった。


 母の作った晩御飯を食べたら一筋の涙が流れてきた。止まらなかった。


 母は私を無言で抱きしめた。父はその上から私と母を抱きしめた。




 「美里。残された時間楽しく暮らそうな。前向きに生きれば奇跡も起こるかもしれない。」


 「そうよ。美里を笑顔にするためならお父さんもお母さんも頑張るわよ。」


 「ありがとう。お父さん お母さん。」




 少しだけ気が楽になり私達は明日という日常に進んでいった。

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