第2話 落ち込んでいる人はキスで立ちなおる
静香は、もう気力もないし、食事をする気力もなかった。
もちろん木更津ダンジョンの同僚は気が付いていたが、女子たちは休憩時間にだべってて、
「あんなの自分で立ち直るでしょ。私知らないわ」
「みんながみんなが強くはないのよ」
「私の時もそういうことがあったけど、誰も助けてくれなかったわ」
今日は月曜日。木更津ダンジョンの定休日だ。へー、と思ったあなた。世の中は変わっていくのよ。そう、サラリーマン化するの。
ダンジョンができたころは、みんな無我夢中でモンスターを追っていたし、職員もそれにずっと対応してたのよ。
でもね、落ち着いてくると、職員は普通にサラリーマンじゃないですか。定期的な休みも欲しいし。なんたって安給料なんですから。
探求者は、命と引き換えだけど、深く潜ってモンスターを狩れば、大きな収入になる。
受付嬢はコア査定で0.1%をもらえる制度になっているので、優秀な探求者を探してコビを売るようになる。社外デートまでする受付嬢まで現れた。
好みの新人探求者が登録されると、いろいろ丁寧に相談に乗ったり、けがをしない工夫も教えることもある。
コア受け取り時に、木陰でキスをする輩まで出てきている。
一つ上の先輩は、落ち込んで仕事が手につかない彼女を個室に呼び出した。
何も言わずに近寄ってキスをする。舌を入れると、彼女も返してくる。部屋には、ぺちゃぺちゃという卑猥な音が響いている。
「少しは元気出た?」
「先輩も経験したことあるの」
「ええ、ひいきの人がなくなったときは落ち込んで仕事が手につかなかったわ」
「そうなんだ」
「甘いキスありがとうございます」
と笑顔を見せてくれた。
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