手紙を書く行為そのものが狂気を呼び、アイデンティティを溶かしていく
- ★★★ Excellent!!!
西宮宗次郎と金森は同室の同級生だった。
二人には共通の友人、高嶺がいた。
金森は亡き友人の高嶺へ向けて手紙を宛て続けていた。ある日、西宮宗次郎は一通の手紙を読む。だが、そこに綴られていたのは高嶺への慈愛に似た自己陶酔のような文字の羅列だった。我慢ならなくなった宗次郎は高嶺になりすまし、金森へ返事を書くことにした──
手紙が次第に人を狂気に走らせ、読み進めるごとに人物の輪郭が曖昧になっていき、心の奥に粘り着くような嫌な想像が膨らんでいきます。
燃やされたはずの高嶺の日記はなぜあの場所にあったのか。
高嶺になりすました西宮宗次郎は、本当に西宮宗次郎だったのか。
金森は、一体誰に向けて手紙を書いていたのか。
「手紙を書いている人物は誰なのか?」
登場人物たちの抱えた狂気が、読むごとに明らかになっていく。
最後の狂気に触れた時、もう一度読み返したくなります。